2020年に作った詩

■メガジャックポッドの蜜
 
旅は来ず 旅は来ず
重複剤に嘆きを聞き 凪き凪を聞き
鋭利な心と豊かな薄命を オ・イー
遊ばせた奴隷蝶の落ちる羽ばたき
FREAK社が回す 虚構の船団の商流
五芒星の中心に星を示し 六匹の雨の虫
まだ柔らかな花弁のような命は汲む
「恐れを知ることのないことだ」
命は汲む
廃棄されたメガジャックポッドの蜜
動かせば旅は 芽吹く森の夜が明く ヨガアク 世は悪
巨大なゴミは宇宙の隅で種となり ジャンクシュートの得点へ
石版に刻まれた甘美なる平面の夢へと導く
より多くのカードを切り
より多くのスイッチを押せ
座すアナザー影はエデン君よいない君のチェス船を贈るよ
終わりに歌う楽譜置く ガクフオク
晩年と 深淵の 谷はあまりにも遠く思う 喋りながら 歩きながら
旅は来ず 旅は来ず
妖精は二匹に増えた
 
 
 
 
 
■二重性コジンの死都
 
今回の二重性コジンの死都を
 
雷鳴轟く赤子産み達の荒れ狂う昨日よ
僕らの中に生まれ僕らの中に生きた君の終わりの踊りの
群衆を散らして花を散らして声は君を孕む
登山下山登山 私はまた見えぬうちに孤独は君を孕む
段々と膨らむ孤独の渦のカブトガニ育成キット
みるみるうちに置いていかれるここは成長のスピア
徐々に孤独フィート君孕む声や夢やありもしない自我
暖かな恐慌 サスペンスは歓迎
エンドミルでフルミームな降る夜の大イソギンチャク
沈む沈む恐怖感情の解放された新たなエピソード中枢
鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉君を孕む
鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉鶏肉焼けば
付け焼き刃など到底不可能な一瞬間の舌下にて
滑舌が無限に良くなる無限に冴えた無限の決闘は魂を孕む
孕み続ける細胞より固まり銃声良かれ脱水良かれ絶命よかれ
夢にまで見た少女たちの氷の歴史
皇女よ
 
 
 
 
 
■風呂場で
 
数少なに 撚(よ)り 振り解き 時に
 
振り向き 戻し また縫い 繕う
 
掌を空に向け 魂を測量し その重みには
 
死にかけの雛の 命の最後の火も
 
真っ青に焦がして ここに来ては
 
行き止まりに 背中もたれて
 
刺すような正午の 懺悔の光
 
何一つ恥じることはないと
 
固有の神に あっさりと吐く
 
 
 
 
 
 
■ワープリング
 
虹色じゃなくても 透明じゃなくても
 
黙って祈ってる 僕の翼は秘められた距離
 
僕に届くよ 君の孤独が
 
神さえ届かない圧縮速度を
 
ベランダに銃口を向ける
 
見えなくなってもそこにある
 
何も見ていない君の瞳が
 
綻び縫う程の夜の虫の軌道で
 
簡単なんだよこんなの
 
追いかけてね それが氷でも
 
打ち破るための呪縛があるか
 
 
 
 
 
■異聞録
 
胃の襞(ひだ)の民が見送る火星 宇宙飛行士の素足に這う地
隆起するドッキドキのクレーターに 激しくナードな白昼夢
崖から身を投げて放棄星 猫さえ喋る絶好の
太陽は二人の巫女を二進数で操作する 舞は野
王座惑星が光を遮る 奴隷を買えば順調 人間電池のメモリも盗む
ゴミの山 罪の山 人は人として蛹の中で死んでいく
記憶を天に向け描画せよ まだ隠されたままで使える荷物
地獄を駆ると 因果の捻れが知識を支え 裁判官を侮辱する
逆さまに登る川 死んだ思考の残骸が 上へと溢れていく
落ちる故に浮かぶ 電子生物に働く重力は公平に作用する
その向こう側に見えるか 違法に建築されたグリッドの壁が
その中に人の命もあるだろう 魂も業も母なる根源もあるだろう
気が付けばここは 悪魔達の卒業アルバム
 
 
 
 
■意識無い海 産み出すと
 
表層のアンソロジー定期的に定形的に捨て
意識無い海意識無い海 裸体
漏洩怖い史漏洩怖い史 履帯
得体知れぬ看護師の正体 右手に肖像を頂戴
 
DCD DCD 形態は等価の自負
自衛ピグミー自衛ピグミー
キミ押し込めるキミ即ち直ちに休載
 
鳥たちは常に盲目的に 次の島を目指した
足りない話のオチも 次の島を目指した
手紙に書く連号 変更に 怖じず
 
輪郭無い海輪郭無い海 追わずに叫べよ
SOSと SOSと
 
新たな大陸の切れ端 次の島を目指した
食べ残した脂身 次の島を目指した
 
これらに呪術はない
 
 
 
 
 
■都型ウィルスの空中分解(みやこがたういるすのくうちゅうぶんかい)
 
僕は私として十分に実ったと言っていいのか自問する、胸の谷間に
学び舎の裏のレイヤーは学び舎型に切り抜かれ、
ああ、あの裏側の天気を僕が知る日は来ない
散々ばら撒かれた僕と同じ故郷を持つ虫の種
僕と同じ母を持つ同じ娘顔手足鼻明日の話もしている頃だ
30分前から、僕は根源へと至る夢
 
線の上を移動する悪魔の脳に空いた幾千の穴の中に同時に落ちていく
悪魔はゼロ次元であり一つも面を持たない貧しい貧しい
迫りくる悪魔のような色をしている
傷口を何度も触り確かめるのは生きてる証明じゃなくて僅かなノイズだ
無い傷口触ったさ
汽笛すらないことに驚かない他人ではない人形
見つめ合うことをしながら横目で見ることができる動物悪魔
線は線と線 昨日郵便局に手渡した僕の言葉が九州に吸収されたのだ
こんなにも回りくどい文章題を出すなんて、とても結婚している
とてもよく結婚するので、あんなに遠くから来る踏切の音を見送る
この国もまだ他人ではない
春の風に拐われた七つの君よ、君の娘のお母さんよ
蛆、嫌いですか
 
わざと変な踊りを踊るのは、わざと変な踊りを踊りたかったのかな
結婚がここへ来るまでに辿った道を、麻薬犬が通過する
春なのに綺麗だ、あんなにばら撒かれた僕と同じ虫の種があんなにもレイヤーの裏側で妹をレイプしていても、ここに?呼べるのかい
 
30分前から、僕はここを抱えているんだ、他人ではない
はっきりと覚えていることを一つだけ思い出すとしたら子猫の記憶が良くて、子猫は子供の頃からずっと見てきた、ここに来るまでの道を犬よりも悪魔よりも正しく巻き戻ることができるよ、それは神様だから
蛆、嫌いですか
飛び上がった猫が空中で腐敗して、地面に届く頃にはすっかり蛆湧いてて、あの線から線へ、線と線の間のことで、次の戦争が始まる
 
 
 
 
 
 
息を呑んで運転 カリフォルニアの角で
猫も安全運転 管理会社の隅々まで
貸し出す橋 愛嬌で越境 鉄橋の隅々まで
外国旗はいらない 許さないで 辺境へ
 
新しいパンケーキ焼くからね 仕上がり見てきて
張る線とすれば栓をする廃炉 誰もかもが空く
餌場に集合する金魚のダンスのお向かいさん
雨天決行の攻撃命令を無視して朝食結構作る
 
会議は成り立たない プラカードにそう縫った
アスファルトの硬さを教えてくれよ くれよ米を
錠剤と錠剤とを呼ぶ符号がここで破ったんだ
機雷に結ぶケーブルでは死なず
 
 
 
 
 
 
■1
 
東の窓から吹き込む光のあぶくの粉 麦 揺れている
 
すっとお腹撫でて 報せの丘ゆるやかにぬかるむ
 
生ハム付きの穴たちで呼吸する夜空の口もと
 
各(かく)膨らみには魂 灯ります
 
戦士の理論で村々豊かになる 理性ヶ丘を駆けていけば
 
テーブル裏返して寒いこと思い出せ 積もる帽子
 
ネオンのびゃんびゃん闊歩する街 金の馬の誇り
 
星を買う心の小人 コロナでデュエルしている
 
 
 
 
 
■2
 
雨リカ人生ぺったんぽっこ ぷるるんごっこ
 
標高 7千万メートル ハートの誤謬(ごびゅう)
 
停止してからお別れするように何度もお願いした
 
アルファベットの形ごとに登校する
アルファベットの形の通学路にそれぞれ人いる
 
亀追いかけて 亀追いかけて 転んだら
転んだ時に亀押しつぶして 押し出された亀の中身が
歯磨き粉みたいにゴールしたんや
 
今では証拠探しの身
 
 
 
 
■3
 
勝手にコラージュしてみ 大きめに切って
 
優柔不断でいそいで鉄砲撃ってみ
 
証言してみ 撃ってませんって
 
ほうき星、探してみ
 
ちょっと眼鏡貸してみ(鳥)
 
廊下通るみたいに猫みたいに生きて死んでみ
 
天井に手をついて、身長刻んだ柱、裏切ってみ
 
 
 
 
 
■プライマリー・アクシデント
 
ここは地球の角に立ち、三つの世界の起こりに見る、各膨らみに魂灯る。
 
1 罪のレイヤー
曲がり角曲がったら、太い常識管の中の正常値ワイヤーが何本もダークな影により急遽上書きされて破損する。破損した車体のグーグルマップに何回も謝罪の種をダウンロードして、弾力性のある青系の人影が一斉に降りかかる炎の下敷きになる。人が生み出したのは黄色い、君を罰と呼ぶ青銅器のようなイマジナリティなゴーストであった。
報せの結晶を各々の車輪に一つずつサーブする。
 
2 石のレイヤー
曲がり角曲がったら、3番のゲートから出た鉄球が1番のゲートに運ばれる途中で割り込むバグの分断。最も中立的で警官の視野の中で時間が巻き戻っているために、新たに血のシークバーが貸与される。石はシークバーに合わせて踊るかのような人生に目覚めさせられ、踊らされ、付き合わされている。自由自在の逆が君を許すよ。
 
3 肉のレイヤー
曲がり角曲がったら、バラバラになって、罪とか石とか肉とかよく見えるように僕の命は三原色の赤で示される。ひっくり返った内臓の回数だけ後ろに進める。赤。赤。赤。赤。赤。赤。赤。車輪だけ。折れる論理的な部品の進む方向に違和感を発する者なし。意識する者なし。知る者なし。神以外。ここで三人になれという命令を受け止める器官もスルーしたままで三人になっている。
 
「飛沫の開発者は粘土を溶かす、軌道に汽車を走らせて」
「回転していないウニ(一時停止)の美しい泡」
「シャイニーシャイニー」
「沈まない豚色の太陽」
「競売にかけられた肉の持ち主のようだ」
「廃焼肉」
 
「美しい君の宇宙船の曲線」
「山頂から落ちたダイバー装置の瞳」
「愛と呼ばれた液体の染み込んだガーゼ」
「踊る影の群れ」
 
「ホルマリン漬けにされた羽ばたき」
「睡眠呪詛のシッソウ」
「横にずらすタイプの自殺」
「新聞を地図として」
「埋められた猫の食欲」
 
 
4 沈黙のレイヤー
黒。それ以外。
 
 
 
 
 
 
身籠らず広げよ 魔剣の回路 引き取らず歩めよ 有病の咳路
芳しく擡げよ 明敏なる懊悩 即座に捉えよ 不可能の孤児よ
靡く千里の丘に
 
 
 
 
 
■ピアノ
 
子供はいますか 愛していますか
その子供ってどこから来て 今は何処に駆け上っ
ていったのか ここからよく見えています
止まれ 石のように 時よ 東を向いたまま
止まれ ピアノ とても早く 山はここにある
 
静かなものですね とても静かな森みたいな影のように
 
移ろう医者と医者の間を 患者たちが霧の中
UFOを呼ぶ屋上の中 声の中 ここからよく見えています
光はどこか戸惑ったまま遠くへ
パレットに 涙置かれて
 
 
 
 
 
■練習詩
 
膝が逆に回転して大泣きするんだ。
お前今年もおもちゃだったらしい。
虹の見える広場に帰れなくなった。
 
 
 
 
 
■閉園
 
遊園地にずっと
いつまでも
言葉の傘を忘れよう
降った雨が乾かないように
疲れないように
優しさや美しさを
標本にして
世界も終わる
 
少女の瞳に占う明日のメニューを
いつまでも
いつまでも
子供のままでいて欲しい
 
私達のお気に入りの遊園地は閉園してしまったね
たまには閉園も悪くないよねって
今だったら言えるかな
閉園した世界は少女のままだから
 
ただ古くなっただけの服を
ただ古くなっただけで捨てたくないよ
 
私達はお互いを削ぎ落とした
思い出の欠片は今でも高く売れるかな
 
 
 
 
■大人と親友
 
過去に数十万 ビニール製の祈りの滝
母の面影に見る 符号のissueを
親友よ 親友よ 首撮らせる 頬の路地に
逃げ惑う焼香 予告は尚も晴れ
手繰り寄せる糸くずの10
愛に来る絶望 服着る腐敗 悪臭に沁み 閉じて
大人だけが見せる色 大人だけが落とす影
大人だけが聴かぬ声 大人だけが知らぬ国
自滅とした色の形に似せた 幼き己の稚さに
春呼ばわりで 兎狩られ 散る印
いざ片付ける 撮らせ首だけ
 
 
 
 
 
無限に伸びる腕の無限に伸びる先には無限に指輪がはめられ
無限に跳躍 無限に徘徊 無限に落ちていく無限の子供たち
無尽蔵な銃弾の無限の軌道を無限に掴んで束ねる無限の腕
無限に未来を見通し無限に居座る無限に在るだけ
 
 
 
 
 
■人違い
 
人違い
 
少し強い風、迷惑
 
名前のないオレンジ
 
リンク切れ
 
家族の画像
 
トンボ羊の事件
 
mp3
 
豪遊
 
傷つけられた爪
 
名札を返して
 
求められた式
 
 
ダンボールのお金
 
数字しか見えない
 
余白あ余白い余白し余白て余白る余白
 
銀行と瞼を閉じて
 
しゃっくり牛
 
丁寧なホワイト
 
 
 
 
■12時
 
プルタブに指引っ掛けて凍るほど待たされた黄金を喉で揺さぶろうと
 
銀の塔の見張りを酔い止めの薬で説き伏せて12時
 
豪華絢爛というラベルの貼られた日常の片隅
 
二人とも今日のことで真っ白になった、夏のような蝉だった
 
青く腐った愛と希望の膨らみを、丸い記憶で少しずつ叶えていく
 
ああこの時だ、この時に始まっては終わっていく、一瞬を飲み干し
 
味わうことはきっと見つめることだね、と、笑いながら蹴る
 
虹の原理は枯れました、空の中で、それとも海底、それとも耳の穴
 
荘厳なる虚無がやっているディスプレイのそのまた奥の反対側で
 
えくぼ増やしてんだ
 
 
 
 
■透明人間
 
古臭い装置が錆び付いている、焦げた匂いに飽き飽きしてる
ありふれた発想がもう川にさえ流れていない、ゴミのない綺麗な川さ
古い動物は姿を消して、老人は街を徘徊しない
いくら薄汚れてもその汚れが輝かない、時が経っても、永遠は来ない
 
愛に歌ってもいいんだよ、窮屈で退屈で、押しつぶされちゃっても
愛に歌ってもいいんだよ、今言えるなら、それはきっと新しくて
愛に歌ってもいいんだよ、叶えたいと思っているのに何故消しちゃうの
愛に歌ってもいいんだよ、正直で真っ直ぐで、卑怯者のやることじゃない
 
どうして嘘ばかり信じてしまうのだろう
どうして目を見て話せないのだろう
 
天国にある僕たちの古い体は、地獄の底で繋がっているのに
地上を渡る僕たちの細い指は、未来へと続いているはずなのに
 
さあ今透き通ろう、君を見せる光の方へ
さあ今輝き放とう、君を開く瞳の方へ
 
新しい体が心を待っている
 
 
 
 
■金炭
 
有冥に 琴の穂 6 division 汚風楼 置く脳 丘に三度の金炭
 
蟻星 呆気に吊った道 琴の穂 億反る 王形除夜 鶴機 鶴機
 
equal 珈琲称賛 灰縁 夢 夢 夢 積もる金炭 航海雲 牧草
 
嬉々とする 循環 尾に住まい 統合を図る 斑 斑 点 点
 
夜号 8 夜融号 71 立てる 魔接工害瞬退都 eda 勃興
 
 
 
 
■透明人間2
 
街に透明人間がやってきた
彼は不透明になりたかった
バケツ一杯のペンキを被って
虹色男と呼ばれたよ
 
 
虹色になった透明人間は
愛を知りたくて女と寝たよ
探せば探すほど見えなくなる愛が
心に空気を注射した
 
 
どうして人の目を見て話せないんだろう
何の為にこの身体があるんだろう
 
 
僕たちの心と体は
未来と地獄で繋がっているはずなのに
 
さあ今透き通ろう、君を見せる光の方へ
さあ今輝き放とう、君を開く瞳の方へ
 
新しい体が心を待っている
 
 
 
 
 
手を引く影の 思い思いの 肩の力 抑揚に足りる胸まで温く
切っ先光る 消毒した幽霊
 
 
 
 
 
 
まどろむ稲穂を叩いて、
砂金や流川やサラサラとした野菜仕立ての血液を飲むのとよく似た、
寝ぼけドラキュラの炭酸入り後悔的に、
川を下る恐ろしいほど好青年の汗のカクテル
 
右の頬の引きつり、ずっとずっと小さな妖精に筋肉を持ち上げられてんのかい、目をやっちゃってるねぇ
 
前世の記憶をピザの生地みたいに薄く薄く味わっていく子供子供と呼ぶ円盤の上に針落として近所迷惑で恋がみきみきと明日という光源を目指す
 
オーッ大海。オーッ鎮静。気まぐれシェフのドキドキ家庭内暴力
毛布くるまりの我が子持ち上げて、耳舐めて、サラダとする
 
ガパ、ガパ、家の裏側をザラザラとした雫が往く
今日も兎たちはオーッ大海
 
ピクニックは雨天決行の呼吸という
 
 
 
 
■白い膝
 
今日の終わりが染み付いて濁る カーテンの隙間の庭には
 
打ち上げられた浜 確かに踏んだ 2トンの膝の重なり
 
最後の一息をキャンバスに吹いて 閉じる 煌々と
 
節電の予兆なくて堂々降る 確かなこの世界の大気へと
 
我らから流れ出る時間の粒が大海へ 帰るよ今日は
 
また呼ぶ声がする港 島々 青々 白い貝に眠る
 
 
 
 
 
クジラの大群を追いかけて
 
 
 
 
仮題MOTHERの計画発足を記念して、MOTHERに寄せて音と感情による詩を未来の自分に贈ります、過去の自分より
意味にならないように気をつけて
 
ラララララお子さん語述べ継ぐ滝形ある異なること持つ多くオークのおんぶり星星ホーク毛頭ほす要素トチドンるり論んつかぬむ事に誇示し都市と振動能力本懐刀身取っ手申しと運方法論論突進
 
お婿オムオム方向高校ホスシも敬う盲信申しし猛ス等等よろし速度コンバンワ嫌がりたむけっとツバ新もむみままもう起こし脳死帽子トトロ小判コンバンワ等身もう見もう見コク利口区
 
 
 
 
■街の隙間を流れて
 
生きた川を切断する檻 捕獲した彼女に嘘の呪文刻んだ
 
名前を付けては売りさばく もう死んでいることも無視して
 
夢から覚めれば脳に操られて 崖を目指して転げ回っている
 
そんな運命の奴隷には彼女の本当の姿など掴むことはできず
 
暖かさを求める者は毛布でも掴んでいればいい そこに彼女はいない
 
人と人が重なっていく無限の時の中で
 
 
 
 
■排気口
 
思い出すのは昔のことばかり
 
思い出されるために生まれた日々ばかり
 
死んでしまっても君の中には住めない
 
君のための場所は君が大好きな絵を飾れ
 
忘れてしまうようなことは忘れてしまえばいい
 
心には風が止まない
 
僕は君になっていくんだ
 
君は今日も起きている
 
世界の裏側で気が変わった太陽
 
全部天国で燃やした
 
溶けた氷みたいに何処でもない場所
 
 
 
 
■例えばこの詩がハンバーガーだとすればここには三番目のバンズが挟まっている
 
運賃 併用 可能 運賃 併用 可能
重心 功徳 予感 重心 功徳 予感
忘れられた鴨 星型の太陽 選ばれし者
隙間から伸びるチーズ色の勇敢な魂はゆっくりと大きな鋏に化ける
アラスカの弟たち 母に抱かれた16本の腕 チキンカレー
忘れられた鴨 浮かび上がる顔 夜遊びと火遊び
重心 功徳 予感 重心 功徳 予感
例えばこの詩がハンバーガーだとすればここには三番目のバンズが挟まっている
伸び切った爪 祖父の羽 赤ちゃんスリッパ
フラッシュバック生命 ブラックジャック板前
蚊のなる木 蚊のなる木 なながつ
ようか ごご じゅう さん ふん
 
 
 
 
■卒業アルバム
 
地球を覆うほどの絶望が断ち切られたとして
 
心の底から手が伸びるほど求めるものは平和じゃないんだ
 
愛が欲しいの一言を誰にかければいいの
 
新橋の空の奥に置いてきた鞄の中で 約束を忘れて
 
ああ 願いが 一つじゃなくて 一人じゃなくて
 
騒がしいね 空を割くような声の塔を君色の傘で駆け上がる
 
ああ 時代を抱いて魔女は 臍の緒の中の午後
 
浅ましいね 百年の夢 泥を売っても酸素を売っても
 
時をかけたくて 朝を待ちたくて 閉会式で踊るんだ
 
この世で一番使い易い箸 伝説の剣みたいにご飯に刺すよ
 
見ろよ色を 時計みたいだ
 
 
 
 
■輝き
 
食欲がみなぎる様に見とれて間違えた
食べたかったのはドーナツじゃない
 
穴に落ちるように垂直に転がっていく 悪魔が住むクレーター
ハキハキと歯切れのいい脅し文句 施して お試しあれ
 
太陽が透けてる ランプも この夜を守る王に祈るように
金色にはしゃぐメールアドレス アットマーク以降も教えて
 
素敵だね 君のたてがみ まるで明日よりも遠くにいる心臓
お喋りをねだる僕は 藁人形に染み込んで肺になるよ
 
遊べば遊ぶほど誰だか分からなくなっていく君のたてがみ
君のたてがみ
 
恋に逃がしたい気持ちにも 無視する 呪文はあると
言えばそうと 返す言葉の山に 得ることなどなし
 
会いに行く 歩いていく 詠むのは星 ただ在るだけ
 
 
 
 
 
今日も動かないあの人のアカウント
 
 
 
 

■ボンドルド

オー ボンドルド ボンドルド 脇にプルシュカを配置することの奥義 意識を捨てて獣のように舞う君の目覚め展望に 人間の君(僕)を抱く君(僕)は僕(君)の僕(しもべ) 未来にechoするのは君の虚無か虚無か虚無 穴の空いた自我 跋扈するcopy(群衆)の愚 祝福が指す魔 借る間 やがて礎