「来る」感想

映画「来る」がポンコツホラーからラストの怒涛の除霊バトルですごいとか良いとか評判を聞いたので、ポンコツなら見てみるか〜と思って見てきた。

ネタバレありで感想を書く。

物語が分かりそうでよく分かってない。

地方に伝わる古い怪談、伝承の話をしつつ、ある夫婦の幸せな結婚生活から物語が始まって、でもある時から次々不吉なことが起きるようになり、主人公(夫)が自分は呪われてるんじゃないかと気にし始めて親友の民俗学者やライターや素人の霊媒師を巻き込みつつ除霊をしようとしたら霊の罠にかかってあっさり死んで。
次に視点が妻に変わって、実は夫は悪い父親だったみたいな話になり、映画告白みたいな感じで次々に別の視点で物語が展開するのかなと思ったらそういうわけでもなく、実は親友が黒幕だったりすごい霊媒師が次々現れたりしてよく分からなくなってきて、最終的に夫婦の子どもが激ヤバ悪霊を呼び込んでいるんだと話が展開して、その子をあの世に返すかどうかでめちゃくちゃ派手な大除霊が行われる中、主要人物達が大揉めして、ラストシーンは結局死んだ夫婦の代わりにライターと素人霊媒師が引き取る、って感じで、最後にその二人が冬のベンチで子供を抱きながらこれからどうしようかなみたいな雰囲気で終わる。

結局激ヤバ悪霊と最強の除霊師の戦いがどうなったのかは明確には描かれず、マンションで血の滝になって窓突き破って血の雨になって終わるんだけど、展開的に多分除霊は成功したんだけどなんかもやもやした。


導入として、まず最初の15分くらいで妻夫木聡のクソつまらないハッピーウェディングと子育てブログ更新生活パートがあるんだけど、振りっていうのは分かるんだけど大変鬱陶しかった。
知らない人の結婚式、この世で最も無駄な時間の一つだなと思う。

その後にその幸せに見えた結婚生活も実は表面だけで、中身は完全な無、妻の方は疲弊しきってたのが明らかになるけどそれもしんどかった。

一番面白かったシーンは、除霊のために関西から東京に来たおばちゃん4人組パーティーの除霊師達が、スカイツリーとかをバックにタクシーで移動してたら、車とトラックが二回衝突してタクシーが完全に潰されるシーンで、激ヤバ悪霊の霊媒師絶対殺すやる気を感じてめっちゃ良かった。

あと新幹線で来たおじさん四人組パーティーの除霊師達がそれを察知して降りる駅をバラバラにしようって話をするシーンも新幹線絶対事故るだろうなと思わせて面白かった。結局事故らなかったけど。

あとはオープニングもそうなんだけど、中島監督の映画はとにかく何でもスタイリッシュで、全部のシーンがMVみたいで良かった。告白ぶりに中島監督見たけど楽しめたと思う。

私は今の時代は込み入ってる生殖の話についてちょっと色々考えてしまうので素直に楽しめなかった感じがするけど、普段生殖について特に何も考えてない人はもっと素直に楽しめるのかな。いるのかな、そんな人。

妻夫木聡が胴体真っ二つに切断されたり、柴田理恵の右腕がいきなり吹き飛んだり、あとやたらと血がダラダラ出まくる、血飛沫祭りでゴアに飢えている時は良いかなと少し思った。
それでもすりガラスや窓ガラスに血の手形べっとりを天丼のようにひたすら繰り返すのは流石にワンパターン過ぎて見飽きた。血は好きだけども。

ホラー要素については、私は元から一切求めてなかったんだけど、一応映画としてのジャンルはホラーってことになってたけど、中島監督の映画だし、怖いシーンは一個もなくて、全部スタイリッシュになってしまっていた。それが見たかったから良いんだけど怖くはない。

良く言うとサイコサスペンスとホラーのハイブリッドという感じの映画。サイコサスペンスとして面白いシーンもあったしホラーっぽい雰囲気を楽しむシーンもあった。
最終的には激ヤバ悪霊が悪いってことで話をまとめてたけど、中途半端にサイコサスペンスっぽいシーンがあったからどっちだどっちだとなる感じで、それを楽しめる人は楽しいかもしれない。
コクソンと似ている、と言っている人がいたけどそのどっちなんだって感じがコクソンっぽいのかな。私にはあんまりピンときてない。



エフェクトの話。

最初に毛虫が一匹出てくるシーンがあって、その後に数匹出てきたから、毛虫を使っていくのかな?と思って見てたら靴や靴屋に毛虫が大量に湧くシーンがあって、多分ビジュアル統一するために一番最初の方の毛虫もCGなんだろうなと後から思って、それにしては(短い秒数しか映ってないけど)毛虫リアルだったなと思って感心してた。

クライマックスはもう祭壇?にひびが入ってぶっ壊れたり、マンションがもうとにかくめちゃくちゃになって血の渦が巻いて壁にヒビが入って血が吹き出して、こんなグロくてめちゃくちゃなエフェクトはサイレントヒルの映画でくらいしか見たことないなと思って熱心に見てた。
尋常じゃない血の量がヴェノム並みの迫力で動き回るのは邦画としてはかなり頑張ったんじゃないかという気がする。

最終盤は話の展開が分かるような分からないような感じなので大量の血のビジュアルで場を保たせてた感じで、良かった。



ポンコツと言われるほどポンコツでもないけどホラーとしては弱い、でも大除霊バトルがシンゴジラ感あって良かったからそれなりに満足しています。