お布団『IMG_antigone_copycopycopycopy.ply』感想

内容のネタバレがあります。



アンティゴネIMG、遅刻して冒頭10分の、多分重要な説明を聞き逃してしまったけど、それでも十分分かりやすかった。

『幽霊と王国』を観て以来、オフトナー(お布団の観客)歴3年か4年になる。

前回の公演、『破壊された女』以降、題材やメッセージ性がストレートになり、話も理解しやすくなり、見やすさ、親しみやすさがアップしている印象がある。

アンティゴネはサプスタンス、フェノメノン、IMGと三つ観劇している。

個人的にはサブスタンスを初めて観た時のインパクトが忘れられない。
サブスタンスはなんだか根本にギラギラとした根源的なものがあって、全てがスタイリッシュにシステマチックに切り替わって単純にかっこよくて、劇としての構造も面白かったし、役者の演技もビシビシとしていた。一番好きな劇だ。

フェノメノンでは何が起きているのか雰囲気で察することはできるものの、実際に何が提示されているのかよく分からなかった。

そして今回のIMGはどうだったかというと、まず時間軸が一本になっていてそれだけでも今までのお布団の演劇としては相当に取っつきやすくなっていて、その場面ごとに主役のキャラクターがいるし、劇で提示されるあらゆるパーツが確実に観客の脳内で組み立つようなパーツを渡されているなと感じる。

また面白くない感想を書いてしまった。
感想が面白くなければいけない理由もないか。

劇中で男性であること、女性であること、アンティゴネであることについて語られるシーンがあり、そのアンティゴネであることが「一つになることから一人一人になるために」に対応していると思うのだけど、その辺が分かれば面白いと思うし他の客は分かってるのだろうけど私は分からないのでノータッチだ。

そもそも私はオフトナーだけど演劇を沢山見るタイプではない。お布団の演劇ではよく女性の役者が男性の役になってかっこいい佇まいでかっこいいことを言うんだけど、今回の演劇もサブスタンスくらいバチバチにキマっていたので個人的にはかなり満足した。

こういう程度の低い感想をばんばん言います。

SFかどうかと言われたら未来の話だしSFといえばSFなのかもしれないけど、時代設定が未来でクローン技術とかが登場するだけで、得地本人がツイッターで言ってるようにSFをやろうとしてやっているというわけではないと思う。ただ現実との距離の取り方にSF的なテイストが使われているだけで。

でも人格をコピーする理屈を本を丸写しするようにどうのというギミックの解説はSFっぽいかもしれないなと思った。好きな理屈だった。

リョナモノという観点では、ただ台詞と役者の少しの悲鳴だけで見事に生々しい拷問シーンを作り上げている。出来のいいリョナだった。ここでアンティゴネIMGの分かりやすさのパラメーターが効いてきて、とてもグロテスクな情景を作り上げる。今回は役者の人数も破壊された女の4倍なので苦痛も4倍。タイトルのcopyが四回になっているのは役者の人数からなのだろうか。

最後に、「音楽」という言葉の使い方が気に入った。
後で読み返したらビラにも「音楽」の説明があって、あれ?ってなったんだけど、劇を見ないとちゃんと意味が分からなかったかもしれない。「音楽」という言葉の使い方が、個人的にはこの劇全体で一番暴力的だと感じた。音楽って普通は癒やしのモチーフなのに、それを。

アンティゴネIMG、観て後悔はしていないけど、本音を言えばサブスタンスみたいなドエンタメが好きなので、あの感じももう一度観たいなと思う。

(追記)
アンティゴネアノニマス・サブスタンスを間違えてアノニマスと省略して書いてしまっていた箇所がありましたがサブスタンスに書き直しました