アラサー男がゼロの執行人を観ると安室の女になるのか?

ゼロの執行人、通称ゼロシコを鑑賞しました。

以下ネタバレあります。

ストーリーについては未視聴の人はWikipediaに大体書いてあるのでそれを読んでほしい。

ゼロシコは私的に映画コナンとしての面白さと安室透夢女製造装置としての機能性と風見裕也に三分できる。

■風見裕也

結論としては、残念なことに安室の女にはなりませんでした。その理由。

私は風見裕也の方が好きなので。

風見裕也というのは安室透と同じ公安警察の安室くんの一切年上(30歳)の忠実な部下で、安室透を降谷さんと呼ぶ常にスーツにメガネ、そして無表情の男です。

風見裕也本当に面白いんですよ。

安室透とスーパーで棚を挟んで密談するシーンがあるんだけど、安室透はラフな格好してるのに対して風見裕也はスーツでビシッと決めてて更にショッピングカートを引いてて、その様子を俯瞰する構図がこの映画の中で一番シュールで最高だった。
カイジの黒服的なシュールさがある。

そのシーンの直前に安室透の働いてるカフェの上司?的な女から「安室くんと一緒にいる所を他の安室の女に見られたら大変なことになる」ってちょっとメタっぽいこと言うシーンも地味に好き。デッドプール2も公開したしメタ発言はすればするほど良いと思う。

あと風見裕也の初登場シーン。どうしたの?って感じの出で立ち、顔がボロボロでガーゼとか貼ってる風見裕也がいつもの無表情で名乗りながら階段を降りてくるシーンも笑える。多分風見裕也に何やらせても面白いと思う。こういうクソメガネキャラがツボなんだよな。BLではよく居るタイプなのかな?

あと風見裕也についてだけじゃなくてこの映画でも特に良かったシーンが、コナンに盗聴器を取り付けられていた風見裕也がコナンくんの前でいきなり安室くんに腕を極められる。
安室くんが風見裕也の服から取った盗聴器を摘んで潰しながら「これで良く公安が務まるな」と厳しい視線を風見裕也に向けるシーン。ここは危うく安室の女になりかけた。安室くんめちゃくちゃカッコいい。風見裕也に同情してしまう。こんな一個下(29歳)の上司が居たらたまらないな。

その後、コナンくんが風見裕也に向かって安室透が公安警察の組織"ゼロ"に所属していることを知ってるアピールすると、コナンくんにビビる風見裕也。
この映画で一番興奮したな。お互いに誰がどれ程の情報を持っているのか分からない、正体を隠しながらの駆け引きの一番美味しい部分がここだという感覚があった。
「君は一体何者なんだ…」「江戸川コナン、探偵さ」見慣れた光景だけど小学一年生に組織でもトップシークレットの秘密をあっさり言われたらそりゃめちゃくちゃビビるよな。わかるよ裕也。演出上何も見えないけど私にもコナンくんの周りに禍々しいオーラが見えた。ほんとに何者だよ。

その直後に発した「安室という男は、人殺しだ」という発言も意味深で映画のテンションを加速させるし良かった。

その他、キーパーソンの弁護士に叩かれる風見裕也、安室くんの指示で公安特有の違法作業、最大級の威力を誇る爆薬を即座に用意する風見裕也も好き。

風見裕也、Vtuberになれるよ。なれないか。


■安室透夢女製造装置としてのゼロシコ

この映画を観る七時間くらい前に、安室透とベルモットとスコッチでググり、まとめ動画を観て一気にゼロシコが観たくなったのがゼロシコ観賞のきっかけでした。

ゼロシコ見終わった後も、安室透は確かに魅力的なキャラだなと思いました。

一見穏やかに見えて実は二重スパイ、どこまで秘密を握っているのか分からないミステリアスさ、いざという時のイカれ具合、何としても日本を守るという熱い正義感、オプションの風見裕也。魅力の福袋。

いち安室の女が言うには、普段のタレ目の柔らかい表情と、終盤の狂ったドライビングテクニックを披露する危険な男としての表情のギャップにやられて人間は安室の女になってしまう、とのことで、確かに危険な男感は物凄かった。普通の男は電車(モノレール?)の上を車で走ったり、電車の前を走ったり、コナンくんに向かっていった乗用車に空中で自分の車を当てて助けたりしない。めちゃくちゃかっこいい。そんなのGTAでしか見たことないよ。
やっぱり車の運転が上手い男は今の時代でもモテるんでしょうか。
ゼロシコ見たからと言って免許取る気は一切起きないが。

風見裕也に仕掛けさせたコナンくんの盗聴アプリの画面を一人で部屋で見てるときの安室くんとかめっちゃカッコよかったな。
風見裕也と話してるときにマジシャンみたいにいきなり消えるのとか。
コナンくんが安室透に聞かれたくない話をしている時に限ってそこに安室くんがいる神出鬼没感。

安室透という敵か味方か分からない男が一人コナンの周りでうろついてるだけで、たまらない緊張感が産まれるんだよな。

ラストシーンも安室くんが銃使ってるんだけどガラスの破片とか炎とか稲妻のエフェクトで何が起きてるんだかよくわからんがとにかく安室くんとコナンくんが凄いことをやったことしか分からない。すごい。

今回の映画では安室透の唯一の弱点である赤井秀一は登場しないので、安室くんの感情が掻き乱されるような場面はあまりないし、安室くんの多分一番の魅力である三つの顔の一つ、バーボンとしての活躍は一切なかったので、私が求める理想の安室透より少し欠けた感じで物足りなかった。

物語序盤から中盤にかけては、予告編で完全に騙されてコナンと安室透の直接対決がメインディッシュだと勘違いしていた私にとってはもうラスボスとしての安室透像がどんどん膨れ上がって本当にドキドキした。安室透、一体何人殺めるんだ、とか想像してた。
結局コナンくんと協力して事件を解決するし今回は公安側の降谷零としてしか動かないんだけど。
最序盤にコナンくんが「今回の安室さんは………敵かも知れない………!!!」とか言うのが悪い。多分分かっててやってるんだろうけどズルいよ。
責任取ってコナンVS安室透をちゃんとやるゼロシコを私に見せてくれよ。頼むよ。

純黒の悪夢未視聴だから気が向いたら見てみようかなと思ってる。

■映画コナンとしての面白さ

上で大体書いちゃったけど、映画コナン特有のクライマックスのアクションシーンがある安心感とか、ミステリー要素とか、腹の探り合いとか、コナンの映画は良いなぁとしみじみ思いました。

それにしても子供は絶対理解できないだろこの映画。子供向けに作ってないんだろうな。





子供向けではない作品といえば、ゼロシコと無関係の話題。
ゼロシコを観る二時間前にフロリダ・プロジェクトも観たんだけど、これはゼロシコと真逆でエンタメとかではなくてちゃんとした良い映画でした。