最強の恐竜、最高のオタク、前代未聞の脱出シーン…ジュラシックワールド 炎の王国

まず訴えたいことは、「スピルバーグは神」ということ。
その次に監督も含め、この映画に関わっている全てのスタッフが神だ。
こんなものを作れるのは神しかいない。
人生で初めて映画が終わった後に両手を合わせて、深く感謝した。


ここからはネタバレありの感想になります。

 


「現代に生きる最強の生物兵器が出てくる」「最高の男女オタクコンビが出てくる」「見たことない脱出シーンがある」「展開の熱さとラストシーンのスケール観」にやられた。

私は恐竜に興味が無い。いや、無かった。死ぬほど興味が無かった。

ジュラシックパークシリーズなんて1作目を幼少期に見て、それっきりだ。他は何も見ていない。
それに予告編のつまらなさ。
恐竜が麻酔を打たれたり、「走れ!」と言って恐竜と走ったり、海に巨大な恐竜がいる。それだけだ。何も面白くない。(でも本当に面白いんです。信じてください。)映画を観れば分かるけど全てがネタバレになってしまうし、話は面白いけど絵的に地味な本編。予告編で使うとなれば、前回から登場している(?)ブルーと恐竜の大移動を見せるしかないかな、とも思うけど。

しかし現在公開されている映画の中ならジュラシックが無難だろうということでジュラシックを観に行くことにした。「カメラを止めるな!」も観たし、「僕のヒーローアカデミア」も「未来のミライ」も観た。でも感想は書けなかった。じゃあジュラシックワールド観ようということになった。大口先生も関わっているし。
予想の100倍面白かった。


あらすじはWikipediaに載っているので詳しくは書かないけど、
要はジュラシックパークの火山が噴火するから恐竜を逃がそうとしていたけど、悪いやつが裏切って恐竜を兵器なり何なりとしてオークションで密売しようとして、それを主人公たちが止めて恐竜たちを解放し、最終的には人類は恐竜と共存の道を歩むことになり、この世界がジュラシックワールドになる、という話だ。

最後に博士?から発せられた言葉、「未知の脅威の幕開けです。ようこそ、ジュラシックワールド」の最終回のサブタイトルがタイトルになるみたいな鮮やかな伏線回収を最後に見せられて感服した。完全に負けた。

 

【最強の生物兵器 インドラプトル】
前作見てないからブルーについては何も知らないんだけど、この映画はとにかく初見の人に丁寧な作りで、最初にティラノサウルスが人を襲うシーン(めちゃくちゃベタで面白くないが、敢えて古典的な恐竜映画を5分くらいにまとめてやっている)から始まり、主人公二人の関係性だったり、ジュラシックパークがどうなったのかとか、そしてブルー(頭のいい小さい恐竜)が主人公の男と絆を築いてきたことなどが、何となく見ていれば分かる作りになっている。こんなに初見に優しい映画はガルパン劇場版以来だ。本当に丁寧だと思う。
ブルーについては、私はカラスなどの知能の高い動物は好きなので、心を惹かれた。

親切と言えば、監督はこの映画に関して色を意識していて、メインとなる恐竜のブルーには青、後述のインドラプトルには黄色が、それぞれ割り当てられていて、恐竜に関する混乱は一切ない。

そしてブルーの高い知能と凶暴な恐竜の遺伝子をハイブリッドに組み合わせて誕生した、インドラプトルの登場だ。恐竜オークションで未だ試作段階だが客の前に出され、レーザーポインターを当て、音を鳴らすと、レーザーポインターを当てた対象に向かって物凄い勢いで暴れ出す。
終盤の方は檻を破られたインドラプトルがとにかく暴れまわる。この映画のサスペンス、スリル、ホラー、アクションを一手に担っていると言ってもいい。存在そのものがエンタメなのだ。作中世界観としても映画としても、インドラプトルは最強の恐竜だ。

 

また、インドラプトルが最強と言える理由がもう一つあって、恐竜は通常、麻酔弾を撃ったらすぐに眠ってしまって起きない。普通は。でもインドラプトルは違う!敵役の一人が余裕こいて麻酔銃でインドラプトルを眠らせ、インドラプトルの歯をネックレスにしようとか言って歯を抜こうとした時、インドラプトルが突然起き出し、悪役の腕を食いちぎった。それだけでもう、この恐竜は本当にヤバい!と本能的に思わせてくる。 

 

【最高の男女オタクコンビが出てくる】
本作のキャラクターはどれも魅力的だ。主人公の男は恐竜を手懐けられるし、オタク男とオタク女もキャラが立っている。
それ以外のキャラクターも皆魅力的だ。
特に推したいのが男女オタクコンビで、オタク女はザ・オタク女といった感じで気が強くて知識を武器に戦ったりブルーを助けたりする。それとその友達のオタク男。基本的にピンチに遭うと狼狽える役なんだけど、やる時はやる。そういう人が好き。この二人は推せる。
ただ惜しかったのは、最初二人ともメガネなのに二人とも最終的にメガネ外しちゃうんだよね。メガネで居てくれた方が良かったなと思うし、そう思う人は多いことだろう。

 

【見たことない脱出シーンがある】
これは本当に最高です。

悪役に捕まり、檻に閉じ込められ、レンガの壁に三方向を囲まれてしまう。よくあるピンチだと思う。
普通の人なら、「穴を掘って脱出する」とか「隠し持っていた爆弾で脱出する」とか「仲間が助けに来る」といった展開を想像するでしょう。
あなたはジュラシックワールド炎の王国は恐竜の映画であることをお忘れではないでしょうか?

そう、恐竜を使って脱出するんです。
主人公たちが捕まっている部屋の隣の部屋に、頭の硬い恐竜パキケファロサウルス(?)が居るんです。それを部屋の上の方にある小さな窓の鉄格子ごしに主人公の男が口笛で操ると、パキケファロサウルスが頭突きで主人公たちに向かって突進して来る。何発も頭突きをして、遂に壁を突き破ります。
そして外に出られる方も頭突きで破壊させる。

この展開だけで、もうめちゃくちゃ面白いです。私は今まで、恐竜で鉄の檻から脱出した人を見たことがありません。

あとは溶岩と恐竜に同時に追い詰められている人も、私はこの映画以外で見たことがありません。

 

【展開の熱さとラストシーンのスケール観】

脱出展開以外のストーリー展開も熱い。
一番映画が盛り上がるシーンは、前述の現代最強の生物兵器と呼ばれているインドラプトルに追い詰められている極限状態の主人公たちの所に、体の小さいブルーが助けに来るシーン。思わず口を手で覆ってしまった。熱すぎる!映画の展開としては全然ベタだけど!

ラストシーンのスケール観については、前述の通り最後の「ようこそ、ジュラシックワールドへ」のインパクトと壮大さにビックリさせられた。
今までジュラシックパークしか見たことが無かったので、恐竜のいる何処かへ行って、恐竜がガーっと襲い掛かってきて怖ーいと言って終わる、そういうものを想像していた。でも違った。恐竜の二度目の滅亡、恐竜の兵器としての密売、果ては恐竜との共存だ。壮大すぎる。面白さがつまっている。

 

【CGとアニマトロニクスの完全な融合】

CGとCG以外との区別は、全くつかない。特に分からなかったのがティラノサウルス(?)の血を採血するシーンで役者がティラノサウルスに乗っかったり、ティラノサウルスの横をジャンプで切り抜けるシーンはどうやって撮っているのか。案外単純な技法なのかもしれないが分からない。

この映画、恐竜のリアリティに関してはとんでもない品質だと思う。恐竜の喉の震えなどから感じられる、恐竜の圧倒的実在感。
CGか?と思ったシーンは、トリケラトプス(?)が主人公の顔を舐めるシーンくらいだ。でもそれも十分リアルで、実際に恐竜に舐められたらこんな感じにヒトデみたいな質感の舌で、スライムみたいな唾液を塗りたくられるのかな、と思った。でも人の顔に掛かっているしCGじゃなくて実物の液体だろう。それ以外のシーンに違和感が無さすぎる。

特に凄いのはインドラプトルが屋敷を壊しまくって孫娘を追いかけまわすシーンで、臨場感が半端ではない。

 

【その他、雑多な感想】

・大絶滅、キリン
ジュラシックパークが燃えて恐竜たちが次々と海に沈んで行ったり、燃えていく様は、監督がかつてあった恐竜たちの大絶滅を悲しんでいるシーンなのかなという印象だった。
私がその中で個人的に好きだったシーンは、船から主人公たちがその様子を見届ける中で、首の長い恐竜が炎と煙の中で焼けて死んでいく様で、ダリの「燃えるキリン」に似ていて好きだった。象徴的で、良いシーンだ。

首の長い恐竜が初登場したシーンも、恐竜としてではなく天高く伸びる首を持った、しかしキリンではない謎の生き物という感じがして面白かったし、この辺りから段々と恐竜が好きになり始めた。

ジュラシックパーク創始者の孫娘が実は娘のクローンだったと敵から明かされるシーン。単純に唐突すぎてびっくりしたし無意味な設定かと思っていたが最終的には回収された。無理やりな感じもしなくはないが、感情が伝わってきたし、グッと来た。

・パンフレットの裏話
大口先生も寄稿されているパンフレットに書かれていたけど、ジュラシックワールド炎の王国ってめちゃエモいんですけど、その理由が、スペイン人の監督が常に音楽や恐竜の声を持ち歩いていて、エモを表現したい時にいきなり役者に向かって恐竜の鳴き声とかを流すらしくて、役者がマジでビビったりしてるって話聞いて納得したしクソ笑った。恐竜の声流す監督って何?

・あと今回は上映時間の関係で吹き替え版を観たんだけど、それも功を成した。完全にストーリーに集中できたし、ずっと玉木宏のいい声を聴き続けることが出来た。

最後に、恐竜を好きになる切っ掛けを与えてくれてありがとうございます。炎の王国が良すぎて前作に期待してしまいすぎるので、前作を見るかは分かりませんが…。ジュラシックワールドと恐竜は好きでいたいと思います。

 

追記

ジュラシックを完全に天然でジェラシックと打ってしまっていたので修正しました。