詩まとめ2019

■暗雲 2
 
臨終の遊戯の季節 異邦人の古城は玉虫色に燃え
 
凱歌の奥で君は漆黒に窶(やつ)し 熾烈な仕打ちも焦土に還る
 
水晶体の濁流に仰がれて 喉の熱の旗を振る龍
 
今宵号令を銃声に潜め 永年響く遠雷の翅(はね)となり
 
ワイヤーの先に鉄の罠 我が空の夢 肉の楼閣を征く
 
蠢く魂は誰の名の下に 兄妹の血を引いて
 
モノクロームに光る航路 黒き嵐 黒き星座 黒き天の言葉
 
暗雲と馬車は往く 大いなる瞳に侵略を赦し
 
虚ろな複眼と蟲の心に 百里の胸よ 巨人の指よ
 
 
 
【解説】
現在制作中のカオスナイト2のために書いた詩。
 
 
 
 
 
猫で遊ぶ人間を皆殺しにしたい
作詞︰藤想
 
どうして猫の手足を持って
猫にスキリレックスを踊らせるんだ
 
どうして猫に紙袋被せて
笑いものにするんだ
 
どうして全部猫の
嫌がりそうなことするんだ
 
猫はお前の玩具じゃない
そんなに遊びたいなら
俺がお前を肉人形にして
穴を全部犯してやる
クソがよ
 
 
 
灰色のY字路
作詞︰藤想
 
セーラー服でボサボサの
女学生がここを通る
何度も何度も
この分岐に立たされている
 
車は通るか?
カーブミラーは正常か?
女学生は真には
三人組じゃないか?
 
似合わない制服の
女学生がここを通る
野良猫の気分で
この分岐に立たされている
 
明日が灰色なのは
自由の色さ
 
 
 
てもたら
作詞︰藤想
 
夢の中で
君は一人
産まれている
カードするたび
思い出している
 
夢の中なのに
君は笑ってる
夢の中では
君は泣いている
 
思い出せよ赤ちゃんのような白い心を
思い出せよ居ない母の血のリズムを
 
星座へ預けた本当の名を
それを忘れたら
君は
本当に迷子さ
 
会いに行くよ会いに
 
 
 
僕の錬金術指南書
作詞︰藤想
 
1ページ目がキラキラしてる
あれは僕の錬金術指南書
一度だけ異世界で描いたのさ
ヤマネコの呼び方
マッチ人形の動かし方を
 
やがて錬金術
使えなくなった
ここは異世界じゃない
使えなくなった
 
そう遥かな
輝ける黄金時代を描くよ
君に教える
最後の錬金術
see you
 
 
 
夏カレーの詩
作詞︰藤想
 
ある日君は言ったね
カレーは詩だと
 
知らないおばあちゃんの家で
カレーを食べる前に
なんだかよくわからない
福神漬丼みたいなの食わされて
 
思い出したよ君のこと
カレーは詩だね
 
だってこの座敷
完全におばあちゃんの家
 
知らない他人の家で
完全におばあちゃんの家だよ
 
 
 
 
 
■青年
 
立ち上がって行く果てることなく
 
行方知らずの風盗み
 
踏みしだく氷の道を飲み干す喉よ
 
名も無く揺らめく魂の名付け親
 
時に冒涜あどけなく敵もなく
 
雲の色を数え
 
さあ行け群青
 
 
 
 
 
■知らない法則
 
Ⅰ ある図書館
 
「バタ・バタ」
「細い道の主」
「落とし物」
「電線の心電図」
夜の音階」
 
 
Ⅱ 
ラジオを聞いている女と、それを聞かされている女
「ね、私悪くないよね」
 
 
 
 
 
■裸
 
産まれたままの姿で
 
動物のように泣いている
 
抱きしめてくれるような陽の中
 
まだ動くかい 身体 もう
 
影よりも黒い赤ちゃんの指
 
猫の死体 不在 雪に足あと
 
赤い午後に降る 玉
 
 
 
 
  
■絶対に狂っちゃうDay
 
転がり落ちたコインは意識を持って中心へ
ゾンビの暮らすホームステイ先の汚らしい脂肪
 
 
 
 
 
 
頑張って作った新刊は売れるか分からない でも意外と売れる
開場前に知ってる人が来てくれると 少しだけ安心する
新刊の売れ行きが心配で米が喉を通らないから 毎回インゼリーだけしか飲めない それか何かの差し入れ
オム焼きそばとか毎回気になるけど 食べてる余裕 精神的余裕なんてない
 
あのサークルさんに 挨拶に行かなければいけない気がする
壁サーどころか 大通りにさえ面してない 弱小サークルだけれど
 
あのサークルさんに 挨拶に行かなければいけない気がする
あのサークルさんに 挨拶に行かなければいけない気がする
Ah Ah
 
【解説】
実際に歌った動画がツイッターにあります。
 
 
 
 
 
■光
 
体の上に建ったビルは倒壊していく
瓦礫に飲まれていく 苦しい言い訳達
指を一本動かせば一億人の死体と墓 崩れる世界
 
第三の目が開く時 津波は心を温かく湿らせる
この一人の街が 一人分の意識にそびえる街が
これが身体だと言うなら ハイウェイに木霊する願いの群れ
 
発砲せよ 逃げ惑う民に向け
街灯を死守するランナーの如き孤独
 
階段を駆け下りろ ガリバー 我が舟
レターパックで死を運ぶ
お前もまた死に運ばれて
 
今そこに立っている
 
 
 
 
 
■漆喰
 
手を汚さずに殺せるどんぐりさ 狂犬サワー
私がベッドをトランポリン代わりにする時
人が死んでいる 止もしない 死んでいくのだった
 
雨粒の行進止めどなく 干からびるまで飛べ
永遠は遥か遠くで まるでUFOキャッチャーのように
吉兆を飼育 死ぬまで飼育シーケンス
飼い慣らされた地獄の門には呼び鈴が寄生する
1999年の心臓の秘密よ 民は飢えるか
 
目が覚めた頃には
足にシダ
ただ一つ
西の法
贖罪へと向かう
 
 
 
 
 
■ストロベリー・カレント・201910
 
廃墟として観光客を見下ろす 千年の時の前に
お前は一人の兵隊として
数々の怒りを羊のように飼い
丁寧にあいさつをして殺していたのか
 
羊飼いの少女は誰も死なない槍を持ちたいと
乞う
己が槍の一つとして
木として
木漏れ日の
母になる日の
昔話には登場した 首のない龍
 
電子のマットレスにうずめて
石碑と見紛えば
響き合う魂の夕暮れ
廃墟として客人を招く
「ここで戦争がありました」
 
 
【解説】
「ストロベリー・カレント」と同じテーマを書いている。
 
 
 
 
 
■ザ・フレンドリー・ファイス・プレート
 
マリア 聖なる驚異の剛体 どんどん出る出る 犬や 人が
雨や 天下の公衆砲台 いみじくはためく ドグラ・マグラ
猿は 大地に尊ぶ検体 色付き羽衣 虎よ 虎よ
パドゥシャ 善意は陽気に後退 さめざめ泣く泣く 円と 線の
 
 
【解説】
PORTAL2の同名の曲の歌詞。
 
 
 
 
 
 
 
僕は特別なお祝いのケーキ
君はごはん
 
僕をごはんにしてくれ
二人ともごはんになりたい
ごはんの生活をまだ知らない
 
【解説】
作りかけ。後にちゃんと完成させる。
 
 
 
 
 
 
僕の名前は虐光です
 
僕らは歌う 大陸へと 眼差しを一面に照射して
 
信じられる根拠が無くても 明日は自動的に芽吹く
 
同極の意志達は羅針盤を成して 星の名をとわに消し
 
裏側のない画像 世界はどこまでも表面的で
 
穴を掘れば地下都市 宇宙を飛べば空中庭園
 
迷いが消える黒い部屋 直感しか持たない君は人類
 
無くなったものの数を数えて かんきする
 
私の名前は涙です
 
 
 
 
 
 
私の名前はティアドロップです
 
 
大切なものすべてを焼かれても 前へ進め
 
 
私の名前はティアドロップです
 
 
 
 
 
■君は晴れるほどに
 
君は晴れるほどに 晴れるほどに君は
 
速度が落ちていく自転車を追いかけてくる
甘い香りに気圧された 肉万年筆は夜の色
君は晴れ渡る 僕が前髪の隙間から見る君は
黒く染められた猫のしっぽ 曲線のイヴ
 
全てが透明で 光が届く
晴れ渡る君の 君の晴れ渡りの中
時間に話数を振っては愛し 振っては愛し
穴の中で聖夜
 
簡単にしない ピリオドも打たない
流れ流れ 宝石の中で千年の眠りについた
 
君は晴れるほどに 晴れるほどに君は
 
 
 
 
 
■神の王様
 
ライオン肉属性 小町 鉄砲弾丸のように
鉄溶かす 月は皮膚に見える 顔に泥を塗る 菌
あなたが赤が好きだと 分かったかのように見える
社員のシャツ 目には二つ 呪われているペアルック
温泉の洞窟の薄暗い怪物の優しさで目を覚まして
薬を飲ませてくれた 薬を飲ませてくれた
覚えているかな全てのことが本当は起きたことだったこと
 
海の 外の 違う海 馬の ようで 違う海馬
嘘の 夢の 大声で 神の 王様 始まりを競う
 
僕が二人居たら言える 君は情けない子供
戦車の中の猿が 今日だけは祝砲を赦して
 
 
 
 
 
 
空 空 ホホホ ソラ ソラ ホホホ
 
熊division 熊division 熊dimension 熊dimension
 
ふる 理想 Resource ふる 理想 Resource
 
を を を を C O C O C O C
塩塩塩死 塩塩塩死
オープンドアアンドドアアンドドアアンドデス
 
塔をなぎ倒していく 塔をなぎ倒していく
塔をなぎ倒していく 塔をなぎ倒していく
塔をなぎ倒していく
塔をなぎ倒していく
 
 
 
 
 
■Kamiha noO
 
これまでの旅やこれからの旅を切り刻めば
その輪切りには血も骨もあるだろう
 
着する それは家族愛という名の共有される呪いで
ロケット花火で炎上しても 心だけは異様なまでに正しくて
 
君は猫を食べる 美味しくなくても食べる
猫の普通の姿は、君にとってはプリントアウトされた丸焼き
 
何故過去や愛をそんなにも簡単に切り刻めば
その輪廻には星も引力もあるだろう
 
接する それは共有されたフラフープの電車ごっこ
偽物のミサイルでも 心だけは暴力的なまでに正しくて
 
君は本を燃やす 読みたくても燃やす
君にとっての本はもはや 火葬された善的ウィルスに
 
君を切り刻めば
愛する それは遊びにいこうよ
君は君を燃やす 必要がないと信じて
 
君を愛する遊びの炎が 必要だと 神よりも信じて
 
 
 
 
 
■黒い龍の首をたいらげた巨人による飼育
 
想像は力なり 流行りの子供を誘拐せよ
風より速く走り 全ての賢者に笑われるまで 笑う 笑う
 
エゴイズムが映し出すアリスの大河を底辺に
島国を破壊し尽くす黒い魔法の龍の首よ 首よ 首よ
題名のない森と化す 指示は宇宙や宇宙以外から 宇宙 宇宙
 
地球の鍵 愛の翼 君に預けた言葉の涙 涙 涙
鐘は鳴る 鳴らなくては鳴らぬ 真の力は毛糸のおもちゃ
 
彼方へと放て 花で埋もれた果てを恋焦がれ
十字に裂かれた顔の影 天井にある 孤独な太陽 太陽 太陽
 
今や形骸化した会議に似た
禁忌 禁忌 禁忌 禁忌は今も輝いている
 
 
 
 
 
■千により開かれた北
 
錆び付いた最高のサジェストは
ぐしゃぐしゃになった布団と、明日発売のジャンプ
 
正規の経路をスキップしてもいい、許されるのなら
あの池で何度も出会おう、帰り道も必要ない
 
台風の使者、雪山の神、未開の島への新たな門
押すと開くドアに付いている無意味な開ボタン
 
頼りない背中と頼れる背中のアニメーション
一体何に繋がれたケーブルなんだ
集大成にして新章、広がる程に閉じていく
 
草原で暴れる者、一匹の生き物
朝と夜を超えて走れ、途切れることなく
毎日穴の中にいる
 
幸運よ
 
 
 
 
 ■パスタ
 
直接的な愛は 茹でてないパスタ
部屋を片付ける度に出てくる 壊れたパスタ
夕闇に溶ける 真っ黒なパスタ
君が君じゃなくてもいい 泥だらけのパスタ
 
何かを求めてるんじゃない
今日も凪で 明日も凪で
ただ星が落ちるのを待っている 崩れて溶けたパスタ
願うことはやめられない出来事 季節が消えた午後
 
車輪に全ての首を巻いて 蛇はどこまでが首で トラウマのパスタ
全身骨折しても回り続けるよ回転木馬
止めないで 止めないで ただ来る雨を待って
やっと帰ってきたね
 
おかえり 明日の靴は宇宙だ
 
 
 
 
 
 
夏の暑さが僕たちを殺しに来たんだ
 
 
 
 
■二人のシド
 
 
  
 
■for 格子
 
諦めを恋に 曲に重ねよ 愛は形にならない
 
君という形態は流れ行く 海に紙船 そんなにも軽いと知れば
 
量産されていく君の影が いつか不幸な熊に出会って
 
一人で立ち上がれない 涙で塗り固められた眼鏡
 
 
 
 
 
■プールサイド
 
二人はあの場所へ 君はここへ 僕はそっちへ
 
二人の世界の紐を運んだら 壁の外 鳥よりも自由な
 
交わされた魔法 命の交換 答えの書かれたメモ用紙
 
なりたいものになれるなら 君は僕に 僕は君に
 
何を渡すことが出来るだろうか 皮膚の内側を破る骨
 
壁と壁 ドアとドアを結んだ 鎖のように 澄んでる
 
 
 
 
 
 
血は巡る 汚名や新たな戸となり 働き者の花園で
名を再度知れ 果てぬ源泉の案内人の 光の名
視野に潜り込むのは 一つの 運命的な蒸気船
煙吐き出し 破壊された空を進め 疾走する刃の如く
 
少年や少女が衝動に身を任せ 人を消す手品の練習
 
 
 
 
■悲しみ、笑い、みんな
 
赦されたい 赦されたい
赦されたい 赦されたい
 
人間の速度を越えて 君が悪を知る前に
第三の感情 第三の破壊 心は行為を超えていく
 
君に罪が授けられて 紡ぐバイブル
付与されたインデックスの内なる変態
 
魂に接続された 未来という名のコードを
心の在処は世界だね 誰の為の舵を取って
 
赦されたい 赦されたい
赦されたい 赦されたい
 
 
 
 
 
 
蘇るなら絶対に絶対に王国だ、それらはかつて血管内を飛び回っていた空飛ぶ車の代用的裁縫針だった。
唸るのか稲妻か?稲妻は唸らず私達を失明することにお熱だ。
置物の前で置物になると同時に、幸せを慢性的に発生させる幸福機械となりて、この明日や川ァ!!!のフィールドを満たす風となりて、エーテルが、エーテルが訪れるのだ。
最終目標はスワンプマン。何度も死に、何度も蘇るならやはり絶対に王国だ。地獄という名の王国東大卒娘
ピカピカと光る大人や子供を誘い出すための手口。
ゆらゆらと揺れる男や女を誘き出すための手口。
桜餅で建造されたサグラダ・ファミリアの手口。
動けないんですけど!動けないことしか、えっ?訴えることさえも出来ないんですけど!このまま存在しないヒトになっていくんですけど!何故?
手首だけがプロペラのように破損して震えてしまっている。
優勝。誰もいないからして優勝。誰もいないとしても優勝。
ん、だけど、果たして許されるのかな?この毒虫のお茶会よ。
少女と毒虫の妖怪お茶会よ。
キュインキュインキュイン、唸れ紅茶。切り裂けティースプーン。
幸福の機械より訪れるはずよ、地獄のように麗しきはドール。
 
君は
君は
君は
君は
 
【解説】
パチスロ地獄少女は関係ありません。
 
 
 
 
 
■怪物
 
危うく 食べられてしまうところだったのだった
研ぎ澄まされた生存バイアスが 蛸のように腕に絡みつき
深淵 覗くのだった 落ちてしまうところだったのだった
 
撃退された鳥の なんて優雅な墜落の姿勢だろう
撃滅された夜の なんて綺麗な夜景の死骸だろう
 
居なくなることが趣味の怪物の 居なくなる前の本当はね、爪痕なんて無いんだなあとインターネット 巨人たちの、もっと巨大な超巨人たちの魂を掬ってね、それをそのまま泥人形に食べさせちゃた
 
暴走する経路 私の手前で暴れ狂う 優雅で醜悪な選択肢の少女
いないからいいんだ 研ぎ澄まされた生存バイアスを槍という小さな心の許可で触れてもいいんだ触れてもいいんだったのだった
 
どうせ関係なくて 紛れもなく面倒くさい
 
 
 
 
 
■二重就寝
 
鉄骨の就寝 俯瞰 明くる日は違う費用
ラムネ孔 迂回 代理さん昇降昇降
デンキ 女性用の球の慟哭 生け捕り
人を喰い 埋める骨 懐古は領土へ
散漫なる脳 神たる塵に エレキテル
 
鉄骨野の就寝 上位空間 明日は違う人
眠らぬ胸 雲海 大輪荘厳なる 焼身 行進
電信転身 超精巧農林エクスキューズ彫刻陰険と理念
ヒント送り 運命付ける宝来 開墾は漁師の檻へ
様々な野 語る 語れる
 
 
 
 
■金と傷
 
全身の硬い皮膚をコイン コイン 一枚ずつ剥がし
充血した愛で 薄いパン生地に 灯す夜数の
伸縮性を僕たちの道理に 赤い釘で 穿てば
恋をした 防空 城壁に夢 芯を残して
 
 
 
 
 
 
同 土 淵 同 土 淵 同 土 淵 同 土 淵
簡単に身体を通り抜けてしまう時間の発芽
テンポ良く打ち明ける悩みはさながら夏を彩る向日葵
誰にも解決できない悩みに今日も全体重をかけて寝そべる
 
 
 
 
 
■夏の幽霊
 
燃え尽きる瞬間に憧れた日から来た信号機の赤
 
今結婚して子供もいるように遡ると一瞬の喜びや訪れなかった喧嘩
激しい感情のタンクローリー巻き込み事故の最中に生まれた電脳
三回も時を戻しても現れない人影の指に宿る他愛もない温度
既に死んでいるのは今握り締めているアイスクリームではなかったか
 
生まれる前から死んでいるいくつもの稚魚を黒い波に逃がして
初めてだね 何もかもが初めてのことだね
古臭い宝石箱の中にある物も全てが古臭い玩具だ
 
何も許さなくていいから目を離さないでほしい
鉄細工でも構わない 魂がある 普通の人だから
 
 
 
 
 
■折れた杭に見惚れることが許された寝室
 
肉を掘る 肉の中や後ろや側にいて 肉の名札を探す
天使が首を振り 恵みの雨さえも降らない
 
肉をめくっている お前はきっと和牛なんだろ
発声練習をサボった子どもたちは 公園に身を隠していた
 
杭を静かに構えて打ち込み その大きなアーチを信じた
玉ねぎやマトリョーシカや 薔薇の蕾のような
 
名探偵は皆首を吊り 大人は皆 大人の星に帰ってしまった
 
救いのない朝日の眩しさに目を覚まして神を裏切る
 
名前を呼ぶ者 名前を書く者 天使 子供 雨
 
ゆっくりと スープをひっくり返す
 
 
 
 
 
■Dope
 
自然に振る舞うことも
機械的に振る舞うことも
機械の神が決めている
決して狂うことのない
永遠のバグの
一匹の虫の
 
蝿や蝶や
本当の姿など一つも持たない
真理もなければ根底に無も無い
管理された不管理
理性に基づく野蛮
ゲームの輪姦が起きるのと同じ道理で
 
一匹の虫
空になり
飛んでいる
上も下も分からない
深海の中で
 
 
 
 
■肉や腸のように
 
灰 Bala Bala 脳 灰 惨状を肯定の愛 灰 imi衒うmonoCroの
 
焼身  小心 傷心 正真 Homeんの愛 System 繰られ従い
 
3 tion に蟻 払って Ali ギュウニュウ num 問うなどの愛
 
d 選ばれなかった勇者 You joint 10 タ 灰 ya 愛 や
 
Can you see me? Caべ num Oct Oct Oct Act act act
 
造仮演奏 home ナマナマ she isnt 神 e 運 s
 
 
 
 
■ランダム・イン・ザ・ランダム
 
若い男女がポメラニアンを犬小屋に閉じ込めて焼き殺す
一体何を責められようか 総天然の原初の倫理を
シーケンスに基づいて偶発的に殺されていく野生の牛牛
オーダーはオンリーにランダム・イン・ザ・ランダム
目的を失うことを目指して旅立った伝書鳩伝書鳩
満ちる数々の杯 込められた弾丸の総数を覚えて
身体は容易く手折られていく 破壊の数を記帳する
 
 
 
 
 
■飲むドブ
 
対象から対象へ 地下の恐竜から太陽への変化の経路
君の豊かな道へ 自動的に散歩する 接続された島
飛び散る鱗 泉で羽を休める無数の烏
 
完熟のカレーライスの中に沈む自由の女神たちが
ゾンビのように 産まれたがっている
 
格子は前髪 黄泉の国は雑炊 天からバナナを描き風呂敷
美しくなくて人気もない 誰も魅了しない宝石箱
 
それよりは氷 人間は人間として産まれず 人間になっていく
 
多面的な女神たちの夕暮れに
哀れな微笑みをたたえ
前を見ずに
真っ直ぐに空き缶を投げる
 
 
 
 
 
■瞳
 
瞳の奥を覗き込まなくてもいい 瞳の奥には穴しかないから
 
穴ってわかる?何もないんだよ
何もないのに何があるのかっていったら
何もないしかないんだよ
 
幽霊って信じる?私は信じない
信じないけど幽霊がいることを知っている
幽霊を愛しているから
 
穴を愛するのと同じくらい幽霊を愛してるから
 
愛は魔法 魔法は嘘 嘘はゆらぎ 黒い水面のゆらぎ
 
心地良いと感じる生 触覚の延長線上の光
 
瞳の奥には光が見える それを人は瞳と呼ぶのでしょう
 
 
 
 
 
■魔法の女神
 
世界はいつも 少しずつ変わり始めてるから
 
 
 
 
■毒
 
あなたにだけわかることが 私にもわかるよ
 
それはとても不幸だね 毒の言葉 専用回線
 
YES 授けたら リセットボタンを押していた
 
YES まるでパンドラだね ハズレくじでもらえるおまけ
 
YES 荒々しくても愛らしい日常が欲しかった
 
君は一体いつまで合図を待つの
 
君は一体いつまで合図を待つことを選択し続けるの
 
もう会話は回ったまま 同じモノローグを読むことになるよ
 
この先には何もないのに君だけが君の肉体だけが腐っていくね
 
それはとても美味しそうに 君で食欲を満たすよ
 
本物の毒が食べられるなら 死ぬのも怖くないだろうね
 
 
 
 
 
 
■ラブソング
 
運命に振り回されているんでしょう スカートの裾まで
 
あなたに針を刺して 硬く当たる部分まで
 
流れていく渦のような 混乱にまみれた儚い甘美の脂で
 
すべてを投げ出しちゃってもいいんだよ
 
手の隙間からこぼれ落ちていくものが こんなにも無駄で
 
流れていく渦のような まだ自分のことも知らなくて
 
愛しているという言葉にいくつもの手を重ねて
 
優しい色は 黒くなる 何も見えないことが幸福かもしれず
 
いつでも今のためにある 歌は今を生きる人のためにある
 
選びぬかれた愛を着る
 
今の私はあなたの知らない色という
 
随分と 遠い色まで 流されて孤島
 
 
 
 
 
 
 
■何も無く、それ以外の全てもまた無い
 
信じた瞬間裏切った 信じた瞬間裏切った 信じた瞬間裏切った
忘れてしまった歌詞を思い出すように 君の死を語るように
信じていたものはすべて私を形作るのだから
私はもう全てのはしごを外してこの建物の中で焼け死ぬことを選ぶ
私に催眠術をかけた奴らを全員絶対に許さない
怒りに中身がないとしても このまま灰さえ残らなくても
私はもうどうでもいいんだって 全部この釜の外に投げ出して
サロメのように大事なものを全部捨ててしまいたい
この世界は閉じて 二度と開かれない答えの庭に
何も抱えず 何も握らす 何も纏わず ただ落ちていく
私たちの名前はワンダーランドだったね
私たちは生きていたんだね
私たちは
ああ燃えていく旗の翻る 空は雰囲気など知らずに青く澄む
全てを燃やし尽くす光 吸血鬼を葬る棺桶型のトースター
大切なものは何もないってことも捨ててしまいたい
ただ無意味な過去を背負って生きているだけで
何も怖くはないでしょう? その勇敢さももう無い
何も無い 何も
悪魔の名前を呼べますか
何も無い 無い
翼が無くても飛べますか
 
 
 
 
  
■アイドル・ソング
 
君は何を 僕は何を
僕は君を 君の僕を
僕は僕で 君は君で
君が僕に 僕は僕に
 
語り尽くされてしまった物語の吸い殻
どれだけ塗り固めても剥がれていく言の葉
与えた名前から腐っていく君の白い手
接続するんだ 接続するんだ
 
僕は何を 君は何を
君は僕は 君は僕は
 
奇跡でも起こせよ その接続を呼び出して
神話を修復させろ コードは今 巻き戻る
2019年6月21日の風は君にも吹いているか
 
ああ ただの床のシミになった 君の横顔
 
 
 
 
 
■人の火
 
300ページの辞表を渡されて困惑する上司が、一枚二枚と髪の束をめくり、困惑は一層強くなり、ただ立っていることしかできない
椅子は用意されているのに、座ることを知らないのだろうか、それとも辞表が面白いのか
「お前だけを守る」と言ってゴミ袋を抱きしめる勇者
近所のコンビニに行こうとしたら異世界転生してしまった40歳の女勇者
「これが私の生きる意味です」手前に置かれているのは絵のようにも見える、静かな、黄色い卵焼きだった
夢も見ないで眠っている
窓の外にはクジラの二倍の骨がある
今私たちは骨の髄の中にいる
皆、驚くべきことに、運命を知っている
クジラは運命だから 人も殺してしまう
双子のOLがニコニコしながらクジラを喜んでいる
ああ 人の火 人の火 動機は無かったのかい人の火
薄い壁にもたれ掛かって氷が溶けるのを待っている
 
 
 
 
 ■クライマックス・エイジ
 
ああ君よ 君は君のまま ただ巨大になっていけ
街を壊すことを恐れるな それは当たり前のことだ
君の握りしめて離せない 手と一体化した一つの傷
傷は君に刻む この今に秘められた秘密を
 
君が君であることに理由なんていらない
君が生きてていいことに理なんていらない
君が死んでいくことを誰も禁じたりしない
 
幸福か ただ幸福か
幸福とは何かを考える暇もないほどに
氷を掴んで喜ぶ 人にしかできない愚行
星屑に どうしようもなく 光を見て
 
 
 
 
 
■撤退
 
止まらぬ足 太陽に 回転する星 君のよう
季節を無視 して走る足 足は君を連れて行く
待ち合わせた場所 必ず来る 君はいつも素直 素直
雨の日も来る 愚直に来る まるで鳥の 渡り鳥の
 
向きが外れて 敵は誰だと 顔を向ければ親の顔
もしも生が 試練ならばと 運命ならばと
星は止まる 止まって死ぬ さあ見届けろ 流星よ
 
あなたは生きているんだね だから飛ぶのをやめたんだね これまでの全てをかけて 生きると決めたから
これから自分の決めた心で
落ちていく鳥だね 優雅さだね
 
誰にでもできることなんかじゃない
あなたがあなたを変えるのは あなたにしか出来ない
次は何処へ行こうか?それはもう 選択肢じゃない
飛ぶことをやめて落下する流星のような君よ
今までで一番輝く君よ 空を引き裂いて死んでいけ
 
 
 
 
 
■ワンダーランド
 
呼吸を止めて 君は死んじゃった
私たちの名前はワンダーランド
黒い水面に映るのは馬鹿な恋のゾンビの星座
君を自分勝手にさせて 加速させて 沈没させた
別に買うわけでもないのに
何故か値段ばかりが気になっていた
美術品には値段なんてないのに
私はそれを 波と呼んでいる
寄せては返す 寄せては返す いつまでも回り続ける
米津玄師が海の幽霊と呼んでいる その心の
炎や 車軸や ああ 私だったら雷
 
私たちの名前はワンダーランド
黒い水面に映る夜は凍りついて 距離という名の愛で
君は誰のために笑う?それが君ならいいのにね
愛は死んだか 愛は死んだか 愛は死んだか
夢の覚まし方を 今も臆病に埋葬している
 
私たちの名前はワンダーランド
私たちの名前はワンダーランド
私は君を見逃したりしない
 
 
 
 
 
■事前
 
永遠の淑女へと通じる氷属性のシルクロードを往く
全ての卵はベアトリーチェへと通じる線路で
卵の進化を歌う神秘の国に産み落とされた
強大なるメイドさん達妖精として接触拒絶の法を着る
質量へと ただ質量へと 手を伸ばしては折れていく
まるでそれはあの切断は風の如く 心となりて
形を捨てろと 物語を捨てろと 死神は今母になり
肉欲を満たす 法の 古代機動要塞のマニュアル
肉は名を着て 名は意味を着て 意味は人格を脱ぐ
やあ233 我が愛しのパターン
整なる父と聖なる母のその隙間のわずかに空いたわずかに開いた距離の 計り知れない現実的な数列達
避けて通れ 裂けて通れ お前の肉は声になり
わずかにわずかに喜びの種の 己を見つめるだけの
内なる瞳を今 掴んだのなら
 
 
 
 
 
■無邪気に笑うお姫様の足首を切断したお前たちに
 
おとぎの国の外側からやってきて
千本の刃を持つ鎌をそっと お姫様の枕元に
置いたお前たちに龍の息吹を捧げたい
 
この宇宙の誰にも見つからない場所へ
名前などない ただ冷たくて孤独で自分がいない
そんなシベリアへと君を送ろう
 
意味など失ってしまった神に愛されなかった星で
永劫の螺旋の終わりのない 愛されない肉体を
そのスライムよりも意味のない肉をあげよう
 
そして肉を味わい(操り)ながら
千人のグロテスクな豚に お前も豚と成り果てて
わからないに骨の髄まで怯えて暮らせ
 
それでもまだ生ぬるい
お前の形をしたお前の死が
お前を通り過ぎる 震えて眠れ
 
 
 
 
 
 
■黒い波、流星、回る空
 
知れ渡れ人を空気中の島として
振動が落ちてきた 黒い波打ち際に
無であるが故に有の 世界を駆け抜けて行くのなら
 
世界の中心に僕たちは居て
街の全てが 光のすべてが まるで模造品だった
生きていない人たちを笑って
世界を知らない人たちを笑って
 
僕たちも一つの嘘の光として 許されていたことに
君だけが知り果てて つまらない空の星になった
 
二度と落ちてくることはない
雪のただ一つの意志を手のひらで溶かす
空が綺麗じゃなかったことなんて
今まで一度もないのにね
 
 
 
 
 
 
言葉なんて捨てちまえ
 
 
 
 
 
■夏の鎖
 
僕は彼女を苦しめる
僕は彼女を苦しめる
僕は彼女を苦しめる
僕は彼女を抱きしめる
僕は彼女を抱きしめる
僕は彼女に餌を与える
僕は彼女を搾取する
僕は彼女の枷になる
僕は彼女と部屋の中
僕は彼女と部屋の中
部屋の中
部屋の中
部屋の中
僕は
彼女は
 
 
 
 
 
■首のない犬
 
首のない犬は笑いながら言う
「お嬢さん、怖がらないで
このグロテスクな姿は私の顔だ
私はこのように、全身で笑うのだ」
 
肉細工の奇妙なダンス 犬のステップ軽やか
それはとても眩しい 優しい 光に満ちた躍動
犬の心はここにある 尾の先の先 隅々にまで
 
犬の視線は 宇宙に歌う 星が揺れる
歪なレンズで ダークマターに名前をつけた
すべては心のあるがままに
 
 
 
 
 
■恋
 
遊びに行こう 山を超えて 海を超えて
変わっていく景色の中に 静止した男女を見たなら
 
目が覚めたらマンホールの中に落ちていたんだ
落とした人間の顔を思い出す あの景色 あの絵画
止まった時の中から私に地球を見せようとしたんだ
 
後ろから来る 良いものはいつも 裏側の庭で
 
あるとするならそれはたとえば
 
地球が何なのかを知っている私に
地球とは何かを教えてくれる
 
 
 
 
 
■戦・闘・曲
 
架空の都市の架空の人々 生きることのない身の上
殺意を込めて楽器を鳴らせ 薬莢の雨を浴びながら
腐りきった空中庭園で 人の夢をジャミングせよ
王は目覚め 窓から入り込むのは 安らぎの奪取
燃えよ 燃えよ 自然破壊など お前にできるものか
 
全身を真実で焼いた痕の隙間から漏れる 破壊的贖罪
首を失った龍が降る 千の龍が 空の上の禁忌へと
忌々しきエレベーターガールの咆哮
我々を排除するのに適した正しさを帯びている聖書
 
ナイフを一本突き立てれば 愛しているぞと脅されて
ルージュを失った告白に 存在の核の鰐を回せよ
 
あらゆる力を行使せよ
あらゆる道具を利用せよ
殺傷性の無い物質など無く
この空間が意志を持ち 弱き者共を平らげる
 
 
 
 
 
■遥かなる時空の彼方へと移り果てた君へ
 
異形なる料理を口にすれば吐瀉の嵐へ
悪魔さえも跪き 君の名を知ろうと涙を飲むだろう
未来さえ知らなければ カーテンは壊れなかったか?
見えてしまうのだろう 真実を統べる王が その殻が
 
あなたは今どこで何をしていますか
光の君を今ここに 照らしてくれよ 怪物さえも尻尾を巻いて逃げ出すほどの 黒極まり白へと転化した森を 
君の言葉がなければ 笑っちゃうほど無価値な世界
 
今人の姿を借りて 不死鳥の如く灰からいずらば
その生命の木を思わせるような 手のひらを放つ
嵐さえも神さえも 人のものとして踊るだろう
 
父や母や それよりもっと私を狂わせた君よ
死してなおも真実となり 彼方で笑う君の杯よ
私の中のワープホールの中で 私は狂えているか?
 
人の納得も 満足もない そんな豊かな未来の園で
私も笑いたいよ 君と!!!!!
 
 
 
 
 
 
■雨、漂白。聖域!
 
君に 君に
聖域 聖域
羨ましいね
生ぬるい生が
 
実は温かいから氷は溶ける
 
もう走り出していた
それはやっぱり羽ばたきだから
木の下にいるほど雨は強い
 
傘なんて差さなくていいって言われたその日から
私はもうロボットじゃなくなってしまっていたんだ
 
デザイン、すればいいよ大好きによって
この世は昔から
組み立てられたがっているんだ、向こうから
 
【解説】
雨の中で書いた詩。
 
 
 
 
 
■泥舟
 
急に現れてバラバラにしてくれ
新品と同様の機械の心臓
汚いと呼ばれている指で
「これが新しい僕の生活か」
アブラまみれにしてくれ
私は望まない 私は欲しない
それは君がいるから 君は僕だから
私が恥ずかしがる全ての影を
縫い合わせて華々しく着てくれ
母親を強姦するよりも強く
汚らしく
罵ってくれ
お前はただの
泥舟の一部なのだと
 
 
 
 
 
■みなもとスーサイド
 
名前なんて無くなればいいのに
君なんて居なくなればいいのに
余計なものが何一つ無い
なんて清々しく寂しい夜空
 
意味なんて無いよ、意味なんて無い、ただそこにあった砂で城を建てただけで。君がそこに住みたいと言った
じゃあタワーマンションよりも耐震性の低い
私の妄想のオフィス 換気をよろしくね 水は毎日
 
嫌がらせのように切れ味の悪い私の剣で
引き裂くことの意味を殺してやりたいと思った
この世のすべての悪意や殺意に
それは恋ですか? 笑いものにして
 
愛憎という名の美しい演説よ
祝われることに疲れてしまった反逆者よ
人を殺す液体と呼ばれている私のたった一つの心臓よ
愚者よりかわいらしい泥人形に変われ
 
 
 
 
 
 
流れや淀みに食われた親の 仇とばかりに剣を振る
 
 
 
 
 
 
君は詩と呼ぶんだね その電柱の影の 羽虫の王を
それなら僕はもっと太い 大蛇のような 贄を飼うよ
鳥が飛んでいく 空の 真っ昼間に堂々と 道
よくないことだっていいことだよと笑うような
君を許さない者達の 立派な墓の上に立つ 鳥
 
 
 
 
 
■新たな世界
 
急激な生活の変化や 肉体の緩やかな劣化
あー今までどうして そんな事をよく考えられたね
 
古い自分が嫌いだったんじゃないの
思い出の話ばかりやめてね 可愛くないよ
 
違う場所に行きたかった 産まれる前の街角のテラス
愛は龍とともに死んだ 友達と一緒に灰になって
 
つまらない言葉にしちゃおうよ世界の終わりを滅亡を
用途を失い有り余る四肢に新たな名を授け
 
四本足で駆け回る なんて倫理的な暴行を
もっといくらでも新しくなるこれから新しくなる
 
私の名前は『羽ばたき』だ
私だけが何も知らず居るんだ
 
深い森の中の海 まだ踊りも知らなくて 森の海を
知ってた? そんなことだって あり得ないって笑って
 
新たな世界 たな世界 世界
 
 
 
 
 
 
■28時のダンジョン
 
宇宙船の 窓に映る 墜落した 流星達よ
人体の運河に 三原色は 汚濁を呼び
かけがえのないもの 瞬きさえも許さず
波の音は常に重なり 憩いと弔いに 肩まで浸かる
 
四角形は簡単に三角形へと変わっていく
それは人が 今日だけを生きる機械の体に潜って
忘れていく 龍の時代も 春の夜の夢も
 
固定された海 ガラスのように鋭い
氷ではなく 死よりもっと絶対的な
 
どうやって毎日を生きてきたのか
誰も分からないと言った
 
 
 
 
 
 
自殺だ!自殺だ!自殺だ!自殺だ!自殺だ!自殺だ!自殺だ!自殺だ!全部自殺だ、お前の思い通りに死ぬんだ
誰を巻き込んだって何処にも辿り着けやしない
プリパラの筐体燃やしてもキックボード燃やしても
灰は灰になって飛び散るだけ、汚いねえ愚かだねえ
今 泥を見ても星を見ても
どっちが現実でどっちが夢だか分からないんだ
だったらもう笑うしかないじゃないか
地獄で這いずり回って愛してるよってマッチ擦って燃えて愚かにも溶かしていくしかないじゃないか
葬式なんてやめてくれ名前のない私に
いつまで経っても目を開けないつもりだらう
そうやって暗闇の中で第三の目で
デジャヴは預言だと言うんだろう
飽きたよ
もう先輩が人生をかけて作り上げたうずらの骨を見てただ黙って涙を流して反省しなさい
これからもっと真面目に生きなさいクソ説教漫画かよ
絶対に許さないからな、殺してやる漫画家共
大好きとも恋ともゴミティアとも言わせなくしてやる
 
 
 
 
 
■ギャシュリークラム
操り人形 それは僕の手には収まらず溶けていく
馬鹿の真似 馬鹿な踊り 君を掬い上げないで
ちり紙一枚器用に折って 泥の鳥を月に浮かす
毒にも薬にもならない ただ奪われていくだけ
笑顔を割る カラの壷 心はいつも透明で
笛を吹いて席を離れる 道化が本業だと知る
額に飾れば値段が付く 値段が付いたらゴミになる
ハートは可愛く散らばっている 致命的な臓器を
愛を知る 愛を知っている 愛がないのを知っている
叙情に倒れて思い出す バベルのエレベーター
彼女は来ない 来る場所がない 住所なんて意味がない
ロリコンが見るものすべて 真珠に変わっていく
街の明かりは消えることなく いつも誰かを待っている
何もない 何もないがあると言えば 風は吹いているか
恐ろしいものに怯える 足の指一つ引っ込める
パトカーの覆面だけを被っている誰でもない生き物
エスチョンと共にしがみつく 夕焼けと死の崖
楽に生きれば生きるほど 使わないポイントが貯まる
先生に言いたいことは もっと夢みたいに血生臭い
高いことがただ怖くて 高らかに飛びながらも影を這う
うるさいとさえ言い返せない
バレンタインのお返しのお返し そのお返しのお返し
私はいつも光の当たっている場所だけを見ている
苦痛を飲み込んでも悲鳴を上げる位置が変わるだけ
やってもやらなくても何も変わらない 変化済みの魂
ゼロだったら元々そこにある
 
 
 
 
 
 
知ること
 
 
祈り
 
無力
 
白旗
 
「うるさい」と言えず黙っていた
 
 
 
 
 
■やめて鳥葬
 
抑えつけた首を一本や二本や三本の腕で
麻酔の飛魚が群がる 困窮を極めて
注ぐもの 注ぐ時 黒く広がる胸の
すく様な陰影が ボクの瞼を縛る
 
夢よ 越えよ 理解やレンズの罅を
ネオンの浮かんだ皮が然る
これは良い これは良い 嘘じゃないのに音割れで
 
これからボクは死ぬ 大理石の廊下
墓を泳ぎ振り落とす 尾の成る銀河
 
やめて の一言で 苦痛はカステラに変わり
甘いだけのベッドが ボクを腐らせていく
 
 
 
 
 
■大いなる恋の世紀
 
壁、床、天井、窓、全てがガラスで出来た透明な廊下
廊下の外を泳ぐ、赤く、脂身や肋骨や、黒く濃い細い血管が寄り集まり、その中には白い腸(はらわた)が詰め込まれた、肉の魚が泳いでいる
 
肉の魚から滴る血や肉汁や糞便が、空中をひらひらと漂い、突然、重力を思い出したように落下し、ガラスの廊下は全身で汚物を浴びる
 
死んだ肉の魚の体液の死体が、ガラスの廊下を酸のように溶かしていく
暴力的な雨が、廊下を貫通して、底に落ちていく
底、それは底だった ただの底だった
 
底には、人間が今まで骨を見たことがない、ゼリーの恐竜が生息している
ゼリーの恐竜は、ぶよぶよしている
ぶよぶよの歯と、ぶよぶよの爪で、も〜っと、ぶよぶよの獲物、それはただのつまらな獲物を捕食している
 
ただし、ゼリーの恐竜は、底よりも下に生きている
 
肉の魚、ガラスの廊下、ただのつまらない底、途方もない永遠の距離、そしてゼリーの恐竜
 
ある恐竜が、空を見ると、そこには、肉の魚達にとっての底があった
その時、ゼリーの恐竜は皆、夢を見始めた
それはとても素敵な夢を見た
それと同時に劣情と憤怒により狂ってしまった
 
ゼリーの恐竜は明日終わる命を使って、窒素でロケットを作った
温度を失えば飛べないロケットだった
 
ガラスの廊下を信じ、肉の魚を信じた恐竜たち
四肢を持たない愚者のパレードが始まった
神話が生まれ、金銭感覚が生まれ、芸術が生まれ
ゼリーの恐竜たちは二度と、豊かな生活には戻れなかった
 
ただ、今という意味の分からない寄生虫に肉を貪られて、そうして、明日が来た
 
ゼリーの恐竜は、この世界に何一つ残すことなく、肉の魚達にとっての妄想になった
肉の魚は、ガラスの廊下を溶かし続ける
 
天が枯れる
 
 
 
 
 
■めめめちゃん
 
めめめちゃんのことが好きなんです、それだけなんです、それを言ったらもう他に言葉なんて何も無くて、見せたいものも連れて行きたい場所も食べさせてあげたいめめめちゃんでも美味しいと感じるような高級なウニも何もないんです、何も無いことが僕の愛なんです、愛は空っぽで無意味で情けないんです。
 
 
 
 
 
■大いなる恋
 
何回悟ってもそんなの悟りじゃないよ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
■千千千の石くれ
 
千千千と転がる石くれに 手を重ねれば甘美な音色
生まれたての子鹿さえも 魚の泳ぎ方を知るだろう
原石を割って砕いてしまうような私は 屍
パンの焼き方さえ知らず 魚の釣り方さえ知らず
 
引力は遠くから来て 私達を無責任に浮かせる
引力が何故あるのかも知らずに泳いでいる
引力のない世界なら 歩くことさえ叶わない
 
無自覚だ 引力は無自覚だ 千鳥足の独楽だ
君も無自覚なら君も引力の一種 君は自覚している
引力の中で生きて 引力に首を絞められている
何人も命を落とした
 
求めるものは私だけの引力
他の何でもない 君への唯一の経路
 
そんなものがあるものか
千千千と転がる石くれに 手を重ねれば甘美な音色
 
 
 
  
■恋 2
 
あの空が見えるか
まるで病気の蝶のようだ
 
言葉を忘れるために言葉を
影はしっかりと伸びていた
 
 
 
 
 
■ウールデバイス
 
見せたい景色は一つも無くてごめんね
君の繰り広げる平和的な虚ろを舌で撫でて転がす
グミはソフトキャンディと呼ばれたりして
 
催眠効果で喜び消えていく 今日の予定や余命や猶予
豊満な心を抱いて落ちたいんだ ウールのクッションの上から降ってくる致死性のごめんね好きだよありがとう
 
感情は今も君の中に駆け込んでいく消えていく
幾重にも連なるシルクの門に やはり優しい傭兵は行く
何も考えなくても分かる 光を辿る千の細胞
 
片方だけの愛を 愛を 愛を
君だけに見せたくて落として割った
だからもう見せたいものは無いのと同じで
やだよって一言言って?
それじゃ好きなんじゃんって気付かせて
 
 
 
 
 
 
■恋
 
いやそんなに簡単に名前つけんなよこれから一生その子がその名前で生きてその名前で呼ばれてその名前をファミレスの名簿に書いてファミレスの店員に名前を呼ばれるってファミレスの名簿には書かないか、でも看護婦さんにはその名前で呼ばれるんだぞ分かってそんな名前つけんのか考え直せ考え直して直して直して正しくしろや、それがお前のたった一つの義務じゃないのか産む苦しみの代わりに生じた責任じゃないのかって、だったらお前は世界をそのまま世界ってよ世界をたった数文字にまとめられるのかよ寿限無ピカソにならずにたったそれだけで語ることもなく一言呟く唇の輪郭で空気を振動させられるほどこの世のすべてを振動させられるほどの名前をその子にお前は、だったらもうだったらもうこの世にある名前じゃなくて新しい名前を付けよう名前じゃなくてもいいから名付けるという行為によって集約しようこの世界の全部の裾を引っ付かんでここに持ってこようそれなら出来るだろう音や色や形じゃなくても出来ることがあるだろうかっこよくなくてもかわいくなくても生き残ることができるほどの世界を包むほどのワールドカップな黒い虹のシルエットに覆われても許されるほどの命の音や色や形以外のもっとずっと最古の壁画に生じたイメージのように天から点から転から典から降り注ぐ大きな愛を世界に向けてばら撒いて釣り針のように離さない離せない極度の反恐怖の遺言や忌まわしい歴史から除外された運命とも未来とも明日とも呼べるそんな名前を恋として
 
 
 
 
 
 
最初は人助け
二番目は私利私欲のため
繋いだ手は腐り落ちる
 
手を差し伸べてくれるな
汚すつもりの現場を兼ねて
 
救命ボートで殴り殺した
 
 
 
 
 
 
ゲームのルールは厳密に定められている
液体Aは君を病気にする約束をしている
ハイ・ダーク ハイ・ダークな新しい医術で
斑点模様の渦 禍々しくも名を呼び
 
塞いだ嫌いな穴と呼ぶ穴を
期待の進化とは誤診の船
 
 
 
 
 
■ぐうの音
 
宝石だけ食べる君の 虹色に輝く歯垢
暇を持て余した貴婦人たちが 挙って君の毛皮を欲す
 
何が好き?何が好き?って いつも笑って綺麗で
知りたいことも知りたくないことも
星の下で明らかになっていく
 
歴史と奇跡の靴下に 人類の罪と翼を見た
明日を食べ尽す今日が 明日を紡ぐ昨日になって
 
it'a true wolrd. 狂ってる?君が好きなだけ
 
影を持った夢の在席 現実の豊かな残骸
 
寝て終わるような休日に 一滴でもいい 血が通えば
毎日君が生きている偶然を 消えないでよって
子供みたいに
 
 
 
 
 
■或る愛
 
ああ 生まれてから数えて 生きている足跡や場面
僕たちは想像だった 水槽の中でも ベッドの上でも
 
縦横無尽に踊り出す 万華鏡のような自由自在
 
君を口に含んでいたいよ 言葉が生まれる前に
世界は正位置を示す
 
君と僕で完成した 最高の夢を見続けるよ
 
僕たちの核の隙間を埋める 壊れたエーテル
 
不慣れなモノマネや 死の香りや 黒いリボン
明日よりも不確かなそれは 幼い約束の続き
 
命だから続くんだ ここから先は もっと太い
 
君を口に含んでいたいよ 肉を伴う安心の先端を
二人が一つになっていくことを 神よりも信じて
 
君をこの口で 喉で とてつもなく汚い彼方の道へ
 
君を口に含んでいたいよ
君が今 ここに居てほしい
 
【解説】
カオスナイトの詩。
 
 
 
 
 
ランナーズ・デッド
 
揺れうる結果はレンジで 猫同様にチンして
抜け殻になった明日を ずっと晒してる
 
逃げかけた裏切る電車のドアに今日も子供が挟まる
ああ 偉いな 死ねずに居られるなんて
 
決まってる そう決まってる 君は僕を残して
 
集中に次ぐ集中 もとい折れかけた花を
セメントで立たせるようだ 父親のペニスに刺すペン
 
石くらい割ってやる 身体捨てるのは天使
弊害=恋愛 何処にでも居る宇宙人だ
 
僕が何かしたのか 僕が誰かを傷付けたのか
分からないなら黙れよ この世界の背で泣け
 
全ては距離から距離への 成果など無い冒険
 
僕が何かしたのか 僕が誰かに嘘ついたのか
笑いたいなら笑えよ 顔なんて無いくせに
 
 
 
 
 
■チブサ
 
肉体を持った日から 運命を狂わせる君に出会った
言葉なんて必要なくて 壁なんて何処にもなくて
僕たちはイメージだった 旧約聖書は盗作で訴えられた
ああ縦横無尽に 踊り出す バルコニーの影
 
君を口に含んでいたいよ 父がそれを許さなくても
世界はそれで完成するから 最高の夢を見続けるよ
 
君を口に含んでいたいよ 世界が4つに裂けてしまっても
エーテルが蘇って 僕たちの核の 隙間を埋めていく
 
バラバラになった感情は 隣同士でも気付かない
こんなにも近くにいるのに 君が誰なのか分からない
 
筏(いかだ)を流す嵐になって
毛布を吹き飛ばす突風になって
死神を立ち去らせる案山子(かかし)になって
幸福の原液は蜂蜜みたいに濃く溶けていく
 
君を口に含んでいたいよ 安心感だけ鎧になって
 
君を口に含んでいたいよ 世界はそれで完成するから
 
君を口に含んでいたいよ 君が今 ここに居てほしい
 
 
 
 
 
 
笛も鳴らずに始まった 世界への恋の歌
 
銃弾の嵐を受け止める腕に刻まれる証明
 
聖地を侵す冒涜を たった一つの武器として
 
ああ ただの空箱だけを残して消えていく
 
求愛のダンス 誰も踊れていないんだよ
 
 
 
 
 
■忘我釦 remove yourself button
 
日に日に明るくなり行く窓が
再誕の地へ跳ぶ愉快な桂馬
 
一匹の羊を数え続ける 羊は一匹 羊は一匹
凍結する時の遥かなる交響
 
まだ見ぬ敵襲に 砂糖の弾丸で穿ち
包囲網に切り取り線 夜更けが栄えて
 
心に自由を弾ませて
 
幸福についての唯一の解は
脳を捨てる事と知り
無垢なる安全へ
魂を落とす
 
真理をいつでも足元に置き
自分の名前をいつでも思い出せながら
蝶や 蝶以外の
羽ばたきとして空を揺らぐ
 
 
 
 
 
■『家』
 
家、ガァガァ、ゴォーーー
 
家、ガァガァ、ゴォーーー
 
家、ガァガァ、ゴォーーー
 
崩れ行く家、家の輪郭が振動して膨れ上がる
 
家の喉、家の頬の贅肉、家の唇
 
家が笑う
 
アハァーーハァーーハハハハハハ
 
薄汚い毒に変わっていく玄関
 
死んだ家にまとわりつく、墓場のような口臭
 
腐乱死体の吐息のような
 
家が笑う
 
アハァーーハァーーハハハハハハ
 
 
 
 
 
■不死の詩
 
挨拶しない 触れ合わない
 
顔を見ないで判断しない
 
始めない 終わらせない
 
別れない 出会わない
 
こんにちわの前にさようなら
 
裏口から入れない
 
こんにちわ さようなら
 
あなたの世界に私はいない
 
生まれない 死なない
 
終わるよりもっと早く
 
始まるよりもっと遅く
 
この世界は始まらない 
 
 
 
 
 
■愛の手鏡
 
愛の容疑 国は 振りかざす腕と知れ
羽の歌を歌った人から死んでいく
生きることも死ぬことも
両方を手に入れて星に変わっていく
 
感謝を言葉にする代わりに
あなたの身体全部を使って私を愛してね
人として産まれたことを
何よりも幸福だと錯覚させてね
素敵じゃなくてもいいから私に夢を見させてね
 
ソファも絨毯も血と肉と骨で出来ているって
私はあなたに会う前から知っているわ
この一枚の皮の下に戦争で失われた命があって
それを見ないまま抱きしめるテディベアみたいね
 
海に入っても壊れない義手が欲しいわ
あなたの愛は金庫を破るための針金
 
鏡 鏡 人の鏡 人の影 人の意志を持つ人外の獣
場所も時間も追ってこれない 袋小路に古城
お前は真実で私を支配して
愛する定めを差し向ける
強く愛する 羽ばたき 質量にまで駆け上る
 
 
 
 
 
■雫
 
いつかは溶ける雪も 永遠に溶けない夢も
 
焦がしてみせてよ 大きな砂糖の粒
 
私を美しく腐らせる煙 灰色の蝶
 
境界線で遊んでみたくて
 
熱を奪われてはもう元に戻らない卵
 
それは私を凍らせるもの
 
それは私を凍らせるもの
 
 
 
午前7時に舞い降りて
 
痛みを知らせる
 
今を生きられるのなら 何だってやってみせる 
 
 
 
 
 
■委員会2
 
終末はまだ心の中
 
殺人現場の原本で
 
透明人間の血を浴びて
 
行く先は宇宙よりも冷たい死体か
 
それとも電子の羊水か
 
不完全性という名の着る棺の丘に
 
念じて飛ばせ 旧式の感性を
 
死刑の朝にLSD
 
黙示録を吹き去ってしまえ
 
 
 
 
 
 
朝日は昇ったばかり 霧や雨は役に立たず
 
既にそこにあるものを もう一つ増やす
 
約束通りには決して現れない
 
これでいいのか誰かに問い続ける
 
 
 
 
 
■勇者の姉
 
さあ夜は単色 スリーゼロ 一枚の平面に一層広がり
 
「己自身を鼓舞せよ」とメタ的な鼓舞する高次元のBuff
 
不要な迷いをパージせよ 蒸留された勇者の原液
 
公的機関よりも硬度の高い 論理で紡がれた変幻の剣
 
 
ああ 実体を持たない姉が 君を律して立ち向かわせる
 
 
白は黒へと 黒は白へと 敵も味方も存在しない世界で
 
その切っ先を矢に見立て 三次元的なダーツを執る
 
羽ばたきが 羽ばたきだけが もはや君の身体になり
 
ノスタルジーの錨を上げろ 新たな神の名を借りて
 
 
 
 
 
■カモフラージュ
 
本に載ってた殺人兵器 未来爆弾の作り方を
 
人を救える手立てと知れば
 
生きることの意味を知る 君や僕や輪廻を回して
 
余裕 明暗 漂流 身に頬を撃てば
 
余裕 明暗 漂流 身に頬を撃てば
 
多々多々多々々々様性の羽
 
血は巡る 愛ほど単調なものはない
 
それはさらさらとした接着剤のはじまりの一瞬
 
世界で一つの錆びついた刃物を 心の外に追い出した
 
不老不死の魔女のように朝の到来を恐れない
 
焼かれた人の最後の涙が ベイパーウェイブな虹になる
 
立ち上がる骨の家 ボーン・ハウスの嘆きよ
 
秘密の言葉なら天国までも携帯済みで
 
手紙は土に還っても 心は土には還らない
 
革命の女神が駆け抜ける 人と人を繋ぐ管の上を
 
吼える血と骨 防音の 父や母からの愛の箱
 
困る人 回る 彼らの世界は球体だった
 
君は僕を隠した 僕は君を待ってた
 
海底のまだ見ぬ船に 希望の星を打ち付ければ
 
宇宙の意志は海に似て 見えない力を宿す壁
 
ペルソナを焼き払え 風穴開ける再生と切断の風
 
愛を知れ 愛を知れ 信じるよりももっと深く
 
 
 
 
 
■反火刑
 
野獣や猛禽の網をかいくぐり
 
ゆらゆら蠢く式を喰う
 
砂上の楼閣の屋上で
 
遊覧飛行のそのまた西へ
 
目線を羽ばたく蝶にして
 
見えたと思った一瞬を
 
その眼球に その脳裏に 心臓のフィルムに焼き付ける
 
ああ私はどれほどの火を背負い
 
この身を焦がせば死ねるのか と
 
山に問い 水に問い 跳躍跋扈の猛獣に問い
 
僧侶の声は虚無からの手紙
 
遥かなる健康を 美しき声を 腸を切り開いて見せた
 
アンチノスタルジーの幽霊騎士が往く
 
 
 
 
  
■ホテル・ザ・パープル
 
ゼロになる私達の正体 ゼロになるを始める正体
 
三番目の緑色に薄汚れた彼岸はもう来ない
 
苦痛のアタッチメント着脱可能にカイシュウし
 
透明な心 透明な横顔 一点の曇りは赤い一本の水平線へ
 
そこへ行けば楽しみが楽しむことが楽しみになり
 
シワシワの赤ん坊を脳髄に溜め込む手口
 
さあホテルはパープルへと変わり 善良な藁人形へ
 
鉄の門の重さに思いを馳せてひた走る
 
明日へ 明日へ この赤い線 窓辺に立ち
 
ビヨンド アンド ユニバース
 
越えて宇宙、コヨーテの喉で
 
 
 
 
 
■深海星雲
 
 
 
 
腐敗した世界に守られて
 
 
 
 
 
■抱いて喜べるような世界
 
わたし達がただ水飲み場で踊っているのは
 
蛇の鳴く頃がわたし達を見つけないように
 
そんな人形劇 ぜんぜんリアルじゃない
 
抱いて喜べるような世界 持ってないからただ水面に映すの
 
白さなんてここには無い あるのは重なり合う光
 
壊れた月みたいにどこにでもあって
 
100万円みたいに誰も持ってないもの
 
探しているの 秘密の鍵を
 
ここに散らばった天使の羽が 実在する証拠なの
 
話してよ
 
真実だけを わたしに
 
 
 
 
 
 
靴の音だけ影を置いて
虐げられた人の旋律が
古いオルゴールから漏れていて
黄色い小鳥は今日も歌う
灰色の雨に
 
 
 
 
 
 
午前の8時に永遠に閉じ込められて
私の銀はあなたの姿を映し出す
光の粒に
砂糖を運ぶよりも
さあ新たなる羽を示して
凍てつくような悲しみのカーテンの中に
私の短い腕は届いて
手品じゃないから私は死ぬわ
灰色の呼吸
 
 
 
 
 
■ウミゾコの星
 
 
 
 
 
 
■君は地獄から這い出ることができる
 
君は地獄から這い出ることができる
 
地獄で苦しむ必要は無く 苦しみの代償を支払う必要もない
 
君は君だけの力で 一人で 地獄へと向かったならば
 
当然自らの力だけで 地獄から這い出ることができる
 
苦しみに苦しみを上塗りするのをやめろ
 
苦しみは君の一部じゃない 地獄と同化する必要はない
 
地獄から這い出て初めて見る空が 始まりの空か 終わりの空か
 
君はそれを確かめなくてはならない 君の目と足で
 
自分自身の肉体の腫瘍に名前を付けて適切に殺せ
 
君には変化する力があることを知覚せよ
 
 
 
 
 
■千の遠雷
 
灼熱の春の最中
千本の腕を生やして千の基底現実を揺らせ
縦横無尽に偽りの眼球を潰し 焦土に一人立ちながら
血と苺のゴブレットを掲げよ 愛という名の者よ
 
想いやりを振りかざし 千の民に驚愕を与えよ
決別と和解のフレームを断絶の彼方でシークして
その腕は合金 人間よりも人間らしい歪な姿で
 
今に絶望するなかれ!
植物達のか細い祈りに耳を預ければ
「次はあなたの番よ」と妹の声
真紅の空に鳥の影
 
過去と未来とストロベリーカレントの
その遥かなる野蛮
ただ一度 ただ一度だけ
しかと見よ
 
 
 
 
【解説】
2018年の詩、「遠雷」の2019年バージョン。オリジナルの方が良かった。
 
 
 
 
 
■ストロベリーカレント
 
怪物を踊る君の肉 ああ懐かしき幼若なる吸血鬼の面影
 
ファウストの願いの如く 時を巻き戻すノスタルジー
 
カレントに生き カレントの酸素を私にくれた 音楽は心
今もこうして呼吸が出来る 血肉となりて 魂の救済の君よ
 
君は君自身の星の光で 君の輝く牙を抜く
得ると共に失っていく 君の歴史には最大の悲劇
 
宇宙のレコード 記憶の彼方 追いやられたとしても
 
地球は墓 心中は愛 暴れ狂う君の光
 
未来の吸血鬼を依り代として いつか再び君は現れる
幾度となく 私の前に 神々しくも邪悪なリスに似て
 
清浄なる地球に再び堕とされたなら
 
また愉快なる喧騒と戦争を下さい
 
 
 
 
 
■革命前夜
 
水滴 点滴
 
血で血を洗う
 
その凶暴な元気 ピンクの雷に似て
 
駆けながら魂
 
私の炎は
 
もはや羽ばたきだけと知る
 
 
 
 
水滴 点滴
 
血で血を洗う
 
その凶暴な躍動 亡き王女の呼吸を秘めて
 
駆けながら命
 
地球はひとつの墓
 
この100年に 眠りについて
 
 
 
 
 
■灰色の夢の少女
 
まずは美しく 孔雀の戸を開け 恒常的前進を
 
かつては憧れた 儚きその浮き出る骨と リコーダー
 
今は巨人の中に囚われた娘
 
従順な足運び 黒板を引っ掻き無意識を縛る
 
第二の奴隷の視座に 現れる虚空の姉妹
 
二本の指を立てて 笑いながら諦める
 
巨峰を前にして懇願 助けを乞っては浮かぶ
 
何よりも舌に君を見る
 
多少形が崩れてもバームクーヘンは安い
 
ああ空気圧をポンプが期待し
 
君は獣味のクッキーとして 割られる 笑う 割られる
 
炙られても喜ぶのは嘘 犬の姿勢をしかと見て
 
力任せに壊した知恵の輪 もう元には戻らない
 
 
 
 
 
■2019
 
敵は夜に来る 防具を脱いだ湯船で
 
まずは春のサウナ チョコレートは熱いうちに撃て
 
死後硬直 無敵時間の発生中 溶ける鉄の沼を浚う
 
ああ Pythonの言語の如く 厳しさにも似た優しさで
 
光の道は十本のピンへ 襟付きのそよ風で導いておくれ
 
今にも再誕を 祭壇に 道徳と歪曲が芽吹き
 
道案内の妖精は言う 「更に得よ 更に得よ」 と
 
回転せよ鰐鮫 存在ごと孤独の牙生やし
 
正しさや多数派の賛成の上を渡る 因幡の白兎
 
体を火に炙られながらも 神のようなコインの裏に祈れ
 
 
 
 
 
■天使を除外した愚かなるヒトへ
 
何がお前の心を喜ばせるのだ 天使をそんなにも除外して
 
ヒト科がそんなにも偉いか 簡単な欲求の笑い袋だ
 
お前の二つの瞳は 全身の密度を失った鍋蓋よりも役立たず
 
霧や虹の影から真の姿を学ぶことも知らない白痴
 
愚行の辞書め お前のための進化は大いなる無駄だった
 
糞袋 しかも破けた底抜けの糞袋 悪臭の原液が
 
何故見ようとしない 天使の姿が眩しいからか?
 
それとも自らの借りた藁の肉に宿る天使さえ知らないのか?
 
今すぐにヒトとして生まれ直せ
 
火も灯せない役立たずの燭台
 
 
 
 
 
■重・銃・獣
 
煮えたぎる灼熱の地獄の釜に 腕を捧げて神を呼ぶ声
 
君のあんよをつけ狙う千丁の銃に創世記を放て
 
自転車と融合した鉛の賢人 脳の車輪にて滑走を
 
振り返り際に短剣で完全な正円を描き 正義の心で喉を斬れ
 
光の剣で殺めた 腐った心を持つ詩人 流れる血は歌
 
甦れ!甦れ! 獣となった命の舵を
 
何度でも存在の根を絶つ 宇宙が再び顕れるまで
 
千個のフィギュアを核融合炉へ投下
 
唯一神のランナーを創造の鋏で 銃殺せよ 蹂躙せよ
 
Ju! Ju! Ju! 汝ら聖戦を望む者共
 
罪はヘリウムより軽い
 
夜の引力で無限の時間さえも殺害せよ
 
重金属の世界樹の前で
 
 
 
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注:当ブログ内に掲載した詩は除外しております。